医師派遣「少なすぎる」vs「計画進め開院を」 さいたまの順大新病院計画、埼玉県医療審議会が答申見送り

順天堂大学医学部付属病院の整備予定地=2021年、埼玉県さいたま市緑区

 埼玉県医療審議会(金井忠男会長)が1日、さいたま市浦和区の知事公館で開かれた。同市美園地区での順天堂大学付属新病院の計画を巡り、当面の間、県北など医師不足地域に派遣する医師の人数を年間1~2人としたいとの大学側の意向が諮問されたが、一部の委員が「少なすぎる」と反発。答申は見送られ、新たに金井会長が県や大学との協議に加わる方向性が示された。

 大学は11月まで基本設計を行い、予約診療に直通するVIP専用出入り口などを備えた新病院の全容が審議会に報告された。建設費用の報告はなかった。来年1月から実施設計に入り、2027年11月の開院を目指している。

 医師派遣を巡っては、今年2月に済生会加須病院に1人の派遣が実現したが、その後2度の交代を経て現在は研修医が派遣されていると報告された。他の病院への派遣は実現していない。

 一方で、一部の委員は「大学が約束違反をしたのか。(誘致の)目的は早く開院することだ」と計画全体を進めるよう主張。金井会長は報道陣の取材に「医療側としては医師派遣の優先度が優位で、諮問の通りの人数では困る」と話し、各委員の意見を取りまとめて大学側に伝える意向を示した。

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