敦賀気比高OB「あの夏を取り戻せた」 中止になった甲子園、当時の3年生が高川学園OBと交流戦

対戦相手の高川学園OBと肩を組み、試合ができた喜びを分かち合う敦賀気比OB=12月1日、兵庫県の明石公園トーカロ球場(大会実行委員会提供)

 新型コロナウイルスの影響で戦後初めて中止となった2020年の第102回全国高校野球選手権をよみがえらせる「あの夏を取り戻せ 全国元高校球児野球大会」の交流戦が12月1日、兵庫県内各地で行われた。福井県代表として参加した敦賀気比OBは、明石公園トーカロ球場で高川学園OB(山口)と対戦。試合は2―9で敗れたが、敦賀気比高OBは「全力で楽しめた。あの夏を越えられた」と声を弾ませた。

 敦賀気比OBは当時の3年生12人が参加。勝ち負けより楽しむことを最優先に臨んだという。一回に4番の山口大成さんが左前適時打を放って1点先制。六回には二塁打を放った長濱慶太さんが犠飛でホームを踏み、1点を追加した。

 投手経験者が参加できなかった事情もあり中盤以降に大量失点したが、敦賀気比OBはベンチから明るく声を掛け合い、笑顔でプレーした。八回裏、先頭の長濱さんが中飛に打ち取られた時点で90分の時間切れ。その瞬間、両チームの選手がマウンドに駆け寄り、胴上げをして、試合ができた喜びを分かち合った。

 

 当時ベンチ入りしていた山口さんは「敦賀気比のユニホームを着てスイッチが入った。大会がなくなりやるせなかったが、みんなと楽しめて良かった」と話した。2年の夏に甲子園で3試合に出場した長濱さんも「(3年時に中止の)甲子園を越えられた。自分たちの年だからこそできた大会」と意義を強調。外野手だった宮階宣全さんは「野球人生の中で一番の仲間と試合ができ、あの夏を取り戻せた」と喜んだ。

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 プロジェクトは東京都内の元球児の呼びかけで実現。大会には、20年夏に行われた各都道府県の独自大会優勝校など全国から42チーム約700人が参加した。

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