「かまいしの第九」45年の歴史、17日幕 コロナ禍で資金の確保難

17日の本番に向けて練習に熱が入る「かまいしの第九」出演者。実行委は今年で「一区切り」とし、45年の歴史に終止符を打つ=2日、釜石市上中島町

 「かまいしの第九」45年の歴史に終止符が打たれる。岩手県釜石市で師走恒例となった実行委主催の演奏会が17日、最終回を迎える。東日本大震災が起きた2011年も歌い継ぎ復興の歩みを鼓舞してきたが、中核メンバーの高齢化が進み、新型コロナウイルス禍で活動資金の確保が難しくなった。出演者は万感の思いを胸に「一区切り」としつつ、次世代から音楽文化が芽吹くよう願い合唱する。

 同市大町のテットで開かれる本番を控えた2日、市内の中妻地区生活応援センターに県内外の小学生から80代の52人が集まった。「もうちょっとクレッシェンド」「ここは響くように」。付箋をびっしり貼ってメモを書き込んだ楽譜を手に、ドイツ語の発音やアクセントを入念に確認した。

 今冬の第44回演奏会が有終のステージとなる。実行委の川向修一会長(71)は「世代や地域を越えた交流があり、楽しむだけでなく文化を耕したいという思いで続けてきた。新しい形で復活することも期待している」と次世代に思いを託す。

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