あさのあつこさん囲み読書会 美作、ファンら近著について質問

ファンからの質問に答えるあさのさん(左奥)

 美作市在住の作家あさのあつこさんを囲む読書会が3日、同市湯郷の交流スペース「ほたる館」で開かれ、県内外から集まったファンら約30人が著書について本人と語らった。

 主なテーマとなったのは6月発刊の「光のしるべ えにし屋春秋」。江戸の浅草などを舞台とした長編時代小説のシリーズ2作目で、ファンは風景や心情の精緻な描写に関して質問をぶつけた。

 あさのさんは、執筆前に古地図を持って東京の街を歩いたことに触れて「想像と古地図から分かる情報をミックスして溶かし、物語にふさわしい情景を選び取っている」と明かした。心の動きの表現については「書くことでさらに奥の何かが見えてくる。シリーズでは何百枚、何千枚かけて主人公を追いかけ、自分の中を掘り進んでいく」と語った。

 初めて参加した京都市伏見区の医療事務員(38)は「直接お話を聴き、作品に込められるエネルギーや温度を感じられた」と話した。

 読書会はファングループ「あさのあつこの会」が年2回程度のペースで開いている。

© 株式会社山陽新聞社