療養中の山本尚貴が2カ月半ぶりにファンの前に登場「戻ってこられてよかったが本当の復活はこれから」

 12月3日に栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催されたホンダレーシングサンクスデー2023に、スーパーGTでのアクシデントによる怪我で療養中の山本尚貴が登場。およそ2カ月半ぶりに、ファンの前に姿を現した。

 今年も牧野任祐とのコンビでSTANLEY NSX-GTでレギュラー参戦していた山本だが、9月に行われた第6戦SUGOで大クラッシュを喫し、その後の精密検査で『外傷性環軸椎亜脱臼』及び『中心性脊髄損傷』という診断を受け、それ以降に控えていた今季のレースを全て欠場することとなった。

 そこから約2カ月にわたる入院生活を強いられたが、10月下旬には手術が成功し、11月18日には自身のインスタグラムで退院を報告。その後の経過も順調なようで、今回のイベントに参加することが直前になって発表された。

 とはいえ、まだレーシングカーに乗れる状態ではなく、お昼に行われた『ホンダ・レーシング・オールラインアップ&フォトセッション』では4輪ドライバーを代表して挨拶し、スタンドからは大きな拍手が贈られていた。その後、ピットレーンで専用チケットを購入した人が参加できるプレミアム・ピットウォークでは、彼のもとに多くのファンが詰めかけ、時間の許す限りファンサービスに応じていた。

4輪ドライバーの代表として挨拶をする山本尚貴

 このイベント中も、山本のもとへドライバーやライダーのみならず多くの関係者らが訪れ、笑顔での再会を果たしている様子でもあった。

 改めて、サーキットに戻ってきたことについて聞くと、「入院当初など、状況が読みきれていなかったときは流石に不安なことばかりでした。それでも、戻りたいという気持ちが消えることは一切なかったので、こうして戻ってこられてよかったなと思います」と山本。

「今は経過も順調で後ろ向きなことも考えていないですし、復帰を目指して、やれることを一生懸命やろうとしている最中。気持ちは前を向いています」と笑顔を見せるものの、「今回の2カ月半は長かったですね……」と、長い入院生活は苦しい思いも少なからずあったようだ。

かつてのチームメイトである伊沢拓也とサーキットでの再会を果たした山本尚貴

 そんな中で支えになったのが、応援してくれる人の声援だったという。

「今の時代はSNSというかたちで自分たちの気持ちを伝える術があるので、たくさん声をかけてもらいましたし、その他にも多くの方から連絡をいただきました。これほどまで、たくさんの人に応援してもらってレースが出来ているんだなというのを、改めて再確認できました。皆さんの想いを力に変えて、また来シーズンは強くなって戻ってきたいなと思います」

 ひとまず、彼の元気な姿を見ることができてひと安心した人も多いだろう。だが、山本が思い描く“本当の復活”はこれからだと語る。

「自分としては、命が助かったという意味では無事でしたけど、本当の意味での復活というのは、やはりレーシングカーに乗って、今までと何も変わらず速く走る。その時に初めて“無事”ということが言えると思います」

「助けていただいた人たちには感謝しています。ただ、ここから先は(レースへの)復帰に向けて、今までの自分を取り戻せるように、また頑張りたいと思います」

 本当の復活という意味では、まだ道半ばにある山本。それでも、表情から垣間見えた笑顔を見る限りでは、少しずつ復活に向けて歩み出せていることは確かなようだ。

マックス・フェルスタッペンと談笑する姿も見られた

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