【インドネシア】熊本企業がトイレ環境改善、衛生シート販売[製造]

フラッグスの内田マネジャー(右)、アドレットの代理店ジャヤ・プリマ・アルカトラのパトラ最高経営責任者(CEO、左)、タケノコ診療所の鎌田東医師=ジャカルタ特別州(NNA撮影)

熊本県内企業の商品開発などを手がけるフラッグス(熊本市)は、自社で開発した便座のふたに貼るトイレ用衛生シート「アドレット」をインドネシアで販売している。水洗トイレの飛沫(ひまつ)を防ぐため「トイレの使用後はふたを閉めて流す」習慣を啓発しながら、抗菌や抗ウイルス、消臭機能を持つアドレットで、インドネシアのトイレ環境改善に貢献しようと動き出した。

アドレットは縦27センチメートル、横18センチのシートで、便座のふたの内側に貼付して使用する。シートの表面に塗布された消石灰が水分と反応して強アルカリ性になり、細菌やウイルスの増殖を抑制する。シートには「トイレのふたを閉めて流しましょう」とのメッセージがデザインされている。

フラッグスは日本で2017年にアドレットの販売を開始し、累計8万枚以上を販売している。アドレットを通じて、アジアの人々を感染症などの病気から救えないかとの思いから、海外展開を図る中堅・中小企業に対して総合的に支援する日本貿易振興機構(ジェトロ)の「新輸出大国コンソーシアム」の枠組みに応募。21年に採択され、海外販売ルートの強化を進めてきた。海外ではラオス国営航空に納入した実績がある。

インドネシアでは、在留邦人向けクリニック「タケノコ診療所」のグループ会社で、医療機器や薬品などを扱う卸売会社ジャヤ・プリマ・アルカトラ(JPA)と代理店契約を結び、同国保健省から家庭用健康用品(PKRT)の販売許可を取得した。

日本から完成品を輸入し販売している。保健省には、アドレットの成分表や製造工程に関するデータ、日本の大学や研究機関による試験結果などをそろえて販売許可を申請、手続きには約半年間を要した。

トイレのふた内側に貼付するアドレット。商品名は「広告(アドバタイズメント)」と「トイレット」を掛け合わせた=ジャカルタ特別州(NNA撮影)

インドネシアでは1枚20万ルピア(約1,900円)で販売。シートの粘着力から180日間での交換を勧めている。首都ジャカルタと西ジャワ州チカラン、バリ州で合計4カ所に展開するタケノコ診療所では、今年3月から使用されている。JPAは、ジャカルタとバンテン州にある取引先のうち31病院とホテル3軒にサンプルを配布し、ジャカルタの耳鼻科専門病院に販売した。

インドネシアで販売する「アドレット」のデザイン。インドネシア語で「ふたを閉めて流しましょう」というメッセージが表示されている(NNA撮影)

病院へのヒアリングでは、壁にポスターを貼るなどしてトイレのふたを閉めて流すことを啓発する案も出されたという。日本だけでなく、インドネシアでも、ふたを開けたまま流した時の飛沫の映像が交流サイト(SNS)で投稿されて反響を呼んだことがあるといい、フラッグスのアドレット部門マネジャー、内田公大氏はNNAに対して、「こうした啓発活動も今後検討していく」と話した。

今後の販売目標については、24年からは年間1,200枚を販売し、次の段階ではその倍の年間2,400枚の販売を目指すという。「将来的には、日本の販売枚数(年間1万8,000枚)を超えたい」と意欲を示した。

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