みんなを笑顔にしてくれた、今は亡き「地域のアイドル猫」 そのレガシーを壁画に カナダ

地域を歩き回る猫Mini

写真はイメージです

ここはカナダ。コロナ禍の最中に「Little Miss Mini」(愛称Mini)という名の三毛猫が、飼い主家族とともにニューファンドランドからノバスコシア州へ引っ越して来ました。やがてこの猫は、見知らぬこの土地を積極的に歩き回って人々と出会い、地域の人気者になったのです。

飼い主のLucy Newtonさんは、ルーネンバーグという町で「Purcell Familyアートギャラリー」を運営しています。

「この猫はちょっと怖がりな性格で、引っ越しの前までは自分の殻に閉じこもりがちでした。ところがこの町がとても気に入って、すっかり態度が変わったのです。びっくりしましたね」と彼女。

Miniは、たいてい飼い主の働くギャラリーの窓辺で昼寝をしたり、近所のアートスタジオの椅子に、ちょこんと座っていたりします。

「出歩くことも好きで、近くのレストランで2回目の朝ごはんをもらったり、地元のウォーキング・グループのみなさんと一緒に歩いたりしています。ときには遠出をして、ビール蒸留所に忍び込んだり、海沿いの博物館に入り込んだりもしました。人々の足に顔をこすりつけて挨拶していましたね」

突然の死を迎えて

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「やがて飼い猫というより、地域全体の猫になったのだと気づいたのです。この猫が亡くなって初めて、Miniが人々にとってどれほど大切な存在だったのかがわかりました」とLucyさんはいいます。

Miniは数週間前に突然亡くなりました。首輪の損傷からみて、きっと車に轢かれたのでしょう。緑地帯に放置された状態で発見されたのです。

「飼い主として、愛猫を外に出すリスクは認識していました。家の中で飼おうとしても、Miniはいやがって窓を引っかき、ドアの前で鳴いて出たがるのです。だから長寿は全うできないだろうと予想していました。でも幸せだったと思います。だって、外に出て人々と出会い、地域の様子を観察する毎日を、とても楽しんでいたのですから」

多くの人々の心にふれた猫

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Miniの死後、Lucyさんの元には多くの人々が訪ねてきました。Miniのビデオや写真、花束やお悔やみのカードを持って。人々は口々に「Miniは孤独な人々に愛情を注ぎ、そばにいてくれた」と話すのです。

地元のカフェのウェイトレスたちは「勤務のシフトが終わると、首輪の鈴をシャンシャン鳴らしながら車まで一緒に歩いてくれました」と教えてくれました。

「この猫のことを誇りに思います。地域社会にとって大切な存在だったのです。動物がここまで人々の心に寄り添えるということを、改めて認識しました」とLucyさん。

虹の橋を渡ってしまいましたが、地域の人々は「この猫のことをいつまでも忘れずにいたい」と思い、リンカーン通りに壁画を設置することを計画しています。

記念の壁画制作をめざして

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リンカーン通り沿いでレストランを経営するMary MillsさんがJennifer Harrisonさん(芸術協会メンバー)とともに世話人をつとめ、壁画設置の署名集めを始めました。これを受けて町役場も前向きに検討を始めています。

「ブルーノーズや埠頭の赤レンガの建物以外にも、この町をアピールできる壁画があるのはすばらしい、と多くの人が賛同してくれました。コミュニティ精神や、愛と支え合いを象徴するシンボルになることでしょう」とMaryさん。

彼女によると、壁画の制作費用は材料や施工費を含めて約6000カナダドル(約66万円)になるそうで、自分たちの店舗のほか、近所のショップにも協力してもらい募金活動を行っています。もし猫の壁画が実現できなかった場合でも、集めたお金を動物保護団体に寄付する予定です。

飼い主のLucyさんも壁画のアイデアに賛同しています。

「Miniが亡くなって、家族だけでなく地域の人々の心も沈みました。地域みんなに愛された猫でした。かわいい姿が見られないことを、多くの人が辛く感じてくれているようです」と彼女は話してくれました。

出典:Lunenburg residents hope to memorialize community cat with 'Mini' mural

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