京都府南丹市美山町の国重要伝統的建造物群保存地区「かやぶきの里」で2日、かやぶき屋根の材料となるかやの刈り取りが始まった。地元住民だけでは人手が足りず、体験ツアーの大学生が初めて手伝った。鎌で刈ったススキを束ね、乾燥させるためにテント状に組む「かや塚」を立てた。
北村かやぶきの里保存会が毎年この時期に実施している。住民数十人で取り組んだ時代もあったが、過疎化に伴って近年は数人しか集まらない日もあるという。市美山観光まちづくり協会が1日体験するツアーを企画し、京都市内の大学生ら6人が申し込んだ。
雪がちらつく朝から住民12人やツアー客が参加し、高さ2メートル以上のススキを手際よく刈った。わらで束ねて三角すい状に立てていき、夕方までに20基以上のかや塚を作った。
京都大大学院生の渡辺彩加さん(28)=同市左京区=は「大きな束をきれいにまとめるのが難しかった。地元の人が気軽に話しかけてくれて優しい」と笑顔を見せた。保存会の中野雅文さん(58)は「若者がいると全然違う。来年も来てもらえれば」と願った。
かや刈りは7日ごろまで続く見込みで、来年4月まで乾かす。