隠れた名器とウワサの新ジャンル 2代目でさらに進化「APEX UW」(2023年)

ツアープロが長距離を高弾道で狙うために開発された「APEX UW」の性能に迫る

2022年に発売された初代「APEX UW」。ユーティリティとフェアウェイウッドの中間という新しいカテゴリーのクラブとして登場し、ザンダー・シャウフェレや石川遼、原英莉花など多くのツアープロが実戦投入し話題となった。今回は2年振りに登場した2代目「APEX UW」の特徴をクラブの知識が豊富なクラフトマン・ミタさんが解説。さらにアスリートゴルファーのヨシダくん(HS50m/s)、ベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)には試打した評価を語ってもらった。

クラブの特徴は?

上田桃子が8年ぶりにクラブを替えたことで話題となった「APEX UW」

【ミタさん】
今回ご紹介するのはキャロウェイの「APEX UW」です。

【シオさん】
「UW」というのは、ユーティリティとフェアウェイウッドを融合したモデルということですか?

【ミタさん】
はい、それぞれのいいとこどりをしたユーティリティウッドです。ツアープレーヤーの要望から生まれたモデルで、アスリートが好むヘッド設計になっています。フェアウェイウッドが苦手なアベレージゴルファー向けのやさしいクラブではなく、競技ゴルファーがロングアイアンの代わりに使うことを想定したクラブです。

「APEX UW」の新作(左)と前作(右)。プロの要望に応えてアップデートが行われたという

【シオさん】
前作は同社の契約プロのみならず、契約フリーのツアープロも使用していたようですが、新作を使用している選手はいますか?

【ミタさん】
契約プロの上田桃子は2015年頃から長年「X HOT フェアウェイウッド」を愛用していましたが、シーズン途中の9月から「APEX UW」を使いはじめました。今作もプロからの評価は高いようです。

【ヨシダくん】
ヘッド性能はフェアウェイウッドとユーティリティ、どちら寄りなんですか?

AIが番手別に設計したFLASHフェースを採用し、高初速エリアの拡大を実現

【ミタさん】
フェースには、マレージング鋼C300という高強度で高反発の素材を採用しており、打感はフェアウェイウッドに近いとされています。しかし、ヘッドサイズは小ぶりで見た目はユーティリティ寄りです。プロの好みに合わせて、ソールのフェース寄りに7gのウエートを配置し、重心を浅めにしています

【シオさん】
ロフトはどのようなラインアップですか?

【ミタさん】
前作は17度、19度、21度の3種類だったのですが、今作では23度を追加した4種類となっています。

【ヨシダくん】
ツアープロの愛用モデルはアマチュアでも使えるのか、打って検証してみましょう。

試打した印象は?

ヘッドサイズはユーティリティよりもやや大きめ。前作よりもひと回り小さく、スッキリしている

【シオさん】
先に前作を打ってみましたが、強い打球でボールスピードが速かったです。今作では同じロフトでも打球が上がりやすくなっていました。ヘッドサイズが小ぶりで構えやすく、ヘッドのすわりが良かったです。

【ミタさん】
アドレスしたときのすわりに関しては、開発段階でプロから要望があり、ソール形状を変更したそうです。ヨシダくんは打ち比べてみてどうでしたか?

【ヨシダくん】
たしかに今作の方が高弾道で飛んでいました。でも決してやさしくはなくて、しっかりと叩けるモデル。私のヘッドスピード(HS50m/s)だと前作はつかまりすぎて少し左に飛んでしまいましたが、今作はマン振りしてもストレート軌道でした。パワーヒッターにとっては、左を消せるのが魅力的ですね。

ヨシダくんは前作と打ち比べ、「ソールの抜けが良く振り抜きやすい!」と進化を実感していた

【ミタさん】
打感はどうでしたか?

【ヨシダくん】
プロが好むような、距離感をコントロールできる打感だと思います。インパクトでボールが食いつくので、微調整できそうな感覚がありました。

【シオさん】
打球音は心地良い低音です。コースでナイスショットが打てたら気持ちいいだろうなという音でした。

シオさんとヨシダくんの「APEX UW」(ロフト角19度)試打データ

【ミタさん】
試打データを見てみると、ロフト角19度でヘッドスピード40m/sのシオさんが200yd、ヘッドスピード50m/sのヨシダくんが230ydでしたが、飛距離性能はどうでしたか?

【ヨシダくん】
飛び系ではないため、飛びすぎないところが気に入りました。直進性が高くグリーン上で止まってくれそうな弾道なので、実戦で活躍してくれそうです。おそらく、国内男子ツアーの選手が3番か4番アイアンで狙うような飛距離だと思うので、無理せず長い距離を狙えるウッドとして投入する選手が多いと思います。

【シオさん】
私は5番ウッドの方がもう少し飛びますが、3番ユーティリティだと考えると同じくらいの飛距離でしたね。ただ3番ユーティリティよりも打球が上がりやすく、振りやすかったです。決して簡単なクラブではありませんが、とても難しいクラブではありません。使い勝手が良いウッドだと思います

【ヨシダくん】
装着されているシャフトがユーティリティ用ではなく、ウッド用という点も好印象です。純正シャフトの「TENSEI 70 for Callaway」はクセが少なく、ドライバーと同じような感覚で振れたので、ハードヒッターの僕でも安心感がありました。

まとめ

ストレート弾道でグリーンを狙う上級者向けクラブ。つかまりは抑えめで、球が上がりやすいのが特長

【ミタさん】
ユーティリティウッドという新しいカテゴリーの「APEX UW」。フェアウェイウッドのような打球の強さと、ユーティリティの顔と球の上がりやすさを融合したクラブです。ツアープロが試合で使うことを想定しているので、浅重心設計でつかまりを抑えて操作性を良くしています。ヘッドスピード45m/s前後のゴルファーであれば19度、21度くらい、ヘッドスピード42m/s前後のゴルファーなら23度くらいを試してみるのが良いと思います。

【ヨシダくん】
純正シャフトはしっかり感があるので、ハードヒッターでもそのまま使える人が多いと思います

■試打したクラブのスペック
キャロウェイ APEX UW(2023年)
●ロフト角:19度 ●シャフト:TENSEI 70 for Callaway ●硬さ:S

キャロウェイ APEX UW(2023年)

© 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン