全速力で走り去る男「何があったん?」「盗撮された」 テレビ局記者ら2人が連携、取り押さえる 神戸の路上

連携プレーで容疑者を取り押さえた大野雄斗さん(右)と前川英樹さん=生田署

 全速力で走り去る盗撮容疑者を連携して取り押さえたとして、兵庫県警生田署はいずれも神戸市中央区に住むテレビ局記者大野雄斗さん(26)と自営業前川英樹さん(32)に感謝状を贈った。

 署によると10月16日午前9時40分ごろ、大野さんは、坂道を上がる女性(21)の真後ろを男(52)が歩く姿に気づいた。「距離が近いな」と視線を向けていると、男がかがみ、スマホを女性のスカートに入れる様子を目撃した。

 思いきって女性に伝えると、女性も不審に思っていたといい、大野さんが「通報します」と話した途端、先を行く男が走り始めた。大野さんは110番しながら男を追いかけ、「証拠を残さなければ」とカメラも回した。

 大野さんと女性は5分ほど追ったが、距離は縮まらない。その時、近くにいた前川さんは焦った表情で走る男を見かけ、女性に「何があったん?」と声をかけた。「盗撮された」という返事を受け、男をめがけて猛追。息子との野球で鍛えた脚力を生かし、坂道から約800メートルの場所で取り押さえた。大野さんらも追いつき、駆けつけた警察官に男を引き渡したという。

 生田署は男を性的姿態撮影処罰法違反(撮影未遂)の疑いで逮捕。容疑を認めたという。感謝状を受け取った大野さんは「通報自体も初めてで動揺した。同じ場面があればもっと早く対応したい」。前川さんは「諦めずに走ってくれた大野さんのおかげ」とたたえた。(安藤真子)

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