大分県内の公立図書館、本の保管スペース逼迫 5館が収蔵率100%超、処分や増設追い付かず【大分県】

公立図書館の収蔵状況
県立図書館の書庫に並ぶ雑誌類。古いものは処分を検討している=11月、大分市王子西町

 県内の多くの公立図書館で、本の保管スペースが逼迫(ひっぱく)している。県立と各市町村立の計19館(分館などを除く)のうち、5館は収蔵率が100%を超える。各館は不要になった本の処分や書庫の増設で対応しているものの、限られた空間での管理に悩んでいる。

 収蔵率は、各館の最大収容冊数に対する実際の蔵書の割合を示す。値が大きいほど余裕がない。

 県内最多の約124万冊がある県立図書館(大分市王子西町)は77%。最大160万冊に対応できる想定だが、前提となる可動式書架の導入が設置費用の問題で実現していない。「実際の収蔵率は約90%」と明かす。

 購入や寄贈などで毎年約2万冊が加わる一方、処分できるのは古い雑誌や実用書を中心に約1万冊にとどまる。「郷土資料など後世に残すべき資料も多く、限界がある」。11月に館内の一室を改修して5万冊分を確保したが、根本的な解決には至っていない。

 市町村立の図書館の収蔵率は100%前後が多い。最大は別府市立の141%。上階にあるコミュニティー施設を間借りして、あふれた本を収納している。

 佐伯市の三浦造船佐伯図書館も限界を超えている。小説などの一般書は冊数が多いため「本来は好ましくないが、一部は書庫の棚に横置きにしたり、コンテナに詰めたりしている」と打ち明ける。

 一方、開館から年数の浅い施設は70%台と余裕がある。

 杵築市立図書館は79%。16万冊の上限に対して約13万冊を管理する。栗屋文世館長(75)は「棚にぎっしり詰めると利用しにくく、ある程度の余裕が求められる。思い切って処分することも必要ではないか」と述べた。

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