社長出身大学 日本大学が13年連続トップも変化の兆し 国立大トップは東京大学、西日本は国立大が健闘

2023年「全国社長の出身大学」調査

2023年の社長の出身大学は、社長数2万248人の日本大学が13年連続でトップを守った。2位以下にダブルスコアの差をつけ、唯一の2万人超えを維持した。上位10位で国立大学は東京大学がランクインした。
日本大学はダントツの社長数を誇るが、都道府県別のトップは2022年の18都県から16都県に減少した。
一方、上場企業(地方上場含む)の社長数は、トップが慶応義塾大学の289人、2位が早稲田大学の230人、3位が東京大学の213人で、上位3校が200人を超えた。国立大学は5位に京都大学、9位に一橋大学が入り、上場企業は上位10位までに3大学がランクインし、存在感を示した。
直近の業績で、増収や増益を達成した企業の社長比率は、一橋大学がトップを独占した。

都道府県別では、日本大学が16都県でトップを守った一方、香川県と高知県では地元国立大学にトップを譲り2位に後退した。また、日本大学以外で複数の都道府県でトップに立ったのは近畿大学、福岡大学の2大学だけ。
東日本では日本大学が前年と変わらず15都県でトップを占めた。一方、西日本は15県で地元の国立大学がトップに立ち、日本大学のトップは宮崎県だけとなった。

※ 本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約400万社)から、代表者データ(個人企業を含む)で公開された出身大学を抽出、集計した。同一人物が複数の企業で社長を務める場合、売上高の上位1社を集計対象とした。 集計対象外となった企業は31万6,488社。
※ 出身大学が校名変更、統合した場合、存続大学名で集計した。本調査は2010年に開始し、今回が13回目。


日本大学が唯一の2万人超え、13年連続トップ

社長の出身大学は、トップが日本大学の2万248人で13年連続トップを維持し、2位以下の大学を大きく引き離した。次いで、慶応義塾大学が1万617人で、2015年以来、9年連続で2位を守った。3位は早稲田大学が1万420人で続き、毎年僅差で競っている。3位までが1万人を超えた。
4位は明治大学8,195人、5位は中央大学7,400人、6位は法政大学6,011人が続き、“GMARCH”の3校が並ぶ。7位は2年連続で東海大学、8位に近畿大学、9位に同志社大学の関西勢2校が入った。
上位20位は東京6大学のほか、西の“関関同立”の関西大学11位、立命館大学14位、関西学院大学17位も入った。関東、関西以外では、福岡大学が16位、愛知学院大学が18位に入った。

東京大学 5年連続で国公立大学で最高の10位

国公立大学では、東京大学が5年連続で10位に入った。また、京都大学は昨年の20位から19位にランクアップした。このほか、22位に大阪大学、23位に北海道大学、27位に九州大学、29位に東北大学、30位に神戸大学と、旧帝大を中心に7校が上位30校にランクインした。

上場企業のトップは慶応義塾大学、国立大学は3校がベスト10入り

上場企業(地方上場含む)は、慶応義塾大学が289人でトップ。2位が早稲田大学230人、3位が東京大学213人で、上位3校が200人を超えた。次いで、日本大学105人、京都大学102人が続く。
国立大学は9位の一橋大学と合わせた3校が10位以内に入った。

業績別(医科歯科系大学を除く) 売上・利益ともに一橋大出身社長の企業が好調

出身社長数の上位100校を対象に、経営する企業の直近2期の売上高と当期利益を比較し、出身社長数全体のうち、『増収』、『増益』、『増収増益』を達成した社長数の割合を算出した。
その結果、増収企業・増益企業・増収増益企業で、一橋大学出身社長がトップを独占した。日本最初のビジネススクールである「商法講習所」を源流とし、前身は東京商科大学。経済の分野における指導者育成の理念は現代にも受け継がれ、多くの著名財界人を輩出してきた。建学以来の教育理念が実を結び、コロナ禍を経てもなお堅実な企業業績を実現したようだ。
このほか、岐阜大学が増収企業で3位、増益企業と増収増益企業で2位と健闘した。各ランキングの上位20校では、国公立大学が増収企業で20校、増益企業と増収増益企業で各16校を占めた。
前年調査でも各ランキングの上位10校はすべて国公立大学が占め、国公立大学の出身社長が経営する企業の手堅い業績が際立つ結果となった。
※ 2022年1月期以降を最新期とし、2期連続で売上高と当期利益が判明した企業を対象に算出した。

都道府県別 日本大学が16都県でトップ、前年より2県減少

都道府県別では、日本大学が16都県でトップを占めたが、前年より2県減少した。香川県と高知県で地元国立大学にトップの座を譲った。
東日本の21都道県では、日本大学が前年と変わらず15都県でトップを占めた。また、宮城県と愛知県を除く19都道県で3位までに入った。同大は卒業生が約125万人(出典:同大ホームページ)と他大を圧倒し、全国24校の付属高校から進学した経営者の子女が事業承継するパターンもあり、多くの社長を全国に輩出している。
一方、北海道、岩手県、宮城県、新潟県、愛知県、三重県は、前年同様に地元の大学がトップを守った。特に、宮城県と愛知県では上位3校を地元大学が占めた。

西日本は過半数の15県で地元国立大学がトップ

西日本の26府県では、日本大学出身の社長がトップを占めたのは宮崎県のみとなった。しかし、16県で上位3校以内に入り、西日本でも存在感をみせている。
25府県では、県内あるいは同じ地域の大学がトップに立った。このうち、近畿大学は大阪府、奈良県、和歌山県でトップ、福岡大学は福岡県と佐賀県でトップを占めた。複数の都道府県でトップに立ったのは、全国で日本大学と近畿大学、福岡大学だけだった。
西日本は、地元の国立大学が15県でトップに立った。ただ、私立大学が多く所在する近畿地方では、2府4県すべて私大がトップだった。大学の分布傾向が、社長の出身大学にも影響していることがうかがえる。

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