11月の「円安」関連倒産 3件 1-11月累計件数は、前年の年間件数の2倍に

【11月速報】 「円安」関連倒産(11月30日現在)

2023年11月の「円安」関連倒産は3件(前年同月1件)で、2カ月連続で前年同月を上回った。2023年1-11月の累計は49件で、前年の年間件数(24件)の2倍に達した。
負債総額は今年最少の1億7,000万円で、小・零細事業者が目立った。

2023年11月の「円安」関連倒産は、卸売業と小売業、サービス業他が各1件だった。円安に伴う仕入価格の上昇に加え、事業環境の悪化も一因となっている。
2023年11月13日、東京外国為替市場で一時、1ドル=151円80銭まで下落するなど、11月前半は1ドル=150円前後の円安で推移した。だた、11月下旬に米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が広がると1ドル=146円台まで上昇した。
円安は原材料や資材だけでなく、エネルギーなど、幅広いコストアップを招いている。特に、価格転嫁が難しい中小・零細企業ほど、コロナ禍の影響が長引くなかで円安が業績回復を遅らせる要因になっている。また、円高に戻しても、すぐに仕入価格の低下につながるわけでもなく、経営体力がぜい弱な企業を中心に当面、「円安」関連倒産が続くとみられる。

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