京アニ公判、遺族が声詰まらせ「今度こそかわいい娘を守る。だからあの日に戻して」

青葉真司被告

 36人が死亡、32人が重軽傷を負った2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第20回公判が4日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれた。この日も遺族による意見陳述が続き、「あの日に戻してほしい」などとやり場のない思いを訴えた。

 犠牲になった女性の母親は、前日まで帰省してくれた娘を再び京都に送り出したことを思い返し、「後悔だけで(犯人への)怒りを持つことができなかった」と語った。法廷に足を運ぶにつれて、「初めて憤りを覚え、嫌悪感を抱くことができた」と明かした。

 そして「親として未熟だけど、のびのびと育てます。もっと大事にします。だから、私の娘を返してください。今度こそかわいい娘を真っ先に守るから、あの日に戻れるなら…」と声を詰まらせ、振り絞るように訴えた。

 精神障害の影響があったとして無罪を主張する弁護人の方針を「パフォーマンスとしか思えない」とし、「情の一片も感じられなかった」と批判。青葉被告に対しては「いまさら悔やんだりされても信じない。反省や謝罪は期待しない。正しい裁きが下されることを信じます」とした。

 量刑に関わる情状面の審理は午後も続き、負傷者の意見陳述なども予定されている。

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