地域の「宝」学び伝える 世界遺産学習の全国サミット、8~10日に和歌山・田辺市で

世界遺産学習全国サミットのポスターを手にする硲ましろさん(左)と佐武正章教育長

 小中学生が世界遺産など地域の「宝」についての学びを伝える「第14回世界遺産学習全国サミットin田辺」(実行委員会主催)が8~10日、和歌山県田辺市である。県内では初開催。9日に紀南文化会館(新屋敷町)である本大会は予約不要で、入場できる。

 「古都奈良の文化財」の世界遺産登録(1998年)を機に、奈良市で始まった取り組み。世界遺産だけでなく、身近な文化財や伝統文化、自然環境などを学ぶふるさと学習として、全国に広がっている。「紀伊山地の霊場と参詣道」が来年、世界遺産登録20周年を迎えるのを前に、田辺でサミットを開く。紀伊民報などが後援。

 9日の本大会では小中学生の学習発表や音楽演奏、記念講演などがある。

 県内小中学校のポスターセッションは午前9時半~11時半、小ホールである。近野中、上芳養小、三栖小、龍神中、新庄中(以上、田辺市)、岩田小(上富田町)、周参見小(すさみ町)、日置中(白浜町)、清水小(橋本市)が発表する。

 大ホールでは田辺市の小中学校による開会記念演奏がある。中辺路小が三味線演奏、秋津川中が炭琴演奏、東陽中合唱部が「熊野古道の歌」を披露する。午後1時~1時半。

 田辺市の全小中学校が取り組んでいる地域学習「語り部ジュニア」の発表は、三里小、本宮小、本宮中が行う。午後1時45分~2時半。

 奈良教育大学ESD(持続可能な開発のための教育)・SDGsセンターの及川幸彦副センター長による記念講演「古からの贈りもの 世界・地域遺産から持続可能な未来を考える」は午後2時50分~4時20分。

 展示ホールでは午前9時~午後4時半、田辺市立幼稚園、小中学校の学社融合の取り組みを展示している。

 田辺市の佐武正章教育長は「子どもたちの学びを聞いて、あらためて地域の『宝』について考えてもらえればうれしい」と来場を呼びかけている。

 教育関係者を対象に8日に公開授業、10日には語り部ジュニアによる熊野古道ツアーがある。

■小中学生がおもてなし

 「全国サミット」に向け、田辺市の小中学生がおもてなしの準備を進めている。

 「全国サミット」のポスター原画は、東陽中文芸部3年の硲ましろさんが手がけた。古道の先、木々の奥から光が射す神秘的な光景を描いている。夏休みに依頼を受け、2、3週間で制作したという。

 硲さんは「古道についてさまざまな情報を調べ、自然の豊かさなど魅力に感じたものを表現した。ポスターになっていろいろな人に見てもらえるのはうれしい」と話している。

 9日の本大会では東陽中の生徒が地元の食材をふんだんに使って考案した「くまのの道 参詣弁当」を販売する。市内のイベントで販売した際も好評だった。お茶付きで千円。限定200食。

 10日の語り部ジュニアによるツアーでは、三里小と本宮小、近野小が校区内の熊野古道を、田辺第一小、田辺第二小、明洋中が市街地にある「田辺の三偉人」(武蔵坊弁慶、南方熊楠、植芝盛平)ゆかりの地を案内する。三里小6年の塚咲良さんは「古くから続く古道の魅力を少しでも伝えたい」と話している。

熊野古道を案内する三里小学校5、6年生の「語り部ジュニア」(和歌山県田辺市本宮町で)

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