【本人に直接取材】「キャバクラ通いや高級ブランド品に…」成年後見制度など悪用して2350万円を横領 元弁護士の男(56)初公判 広島地裁

成年後見制度を悪用するなどして、およそ2350万円を横領したとされる元弁護士の男の初公判が広島地裁でありました。男は、起訴内容を認めました。

起訴状などによりますと、広島県福山市の元弁護士で、無職の成田学被告(56)は2018年6月から去年5月にかけて、成年後見人や遺言執行者として男女3人から預かり、管理していた現金あわせて2348万円余りを着服したとして、業務上横領などの罪に問われています。

4日の初公判で成田被告は起訴内容について問われ、「大丈夫です」と認めました。

「繁華街近くへの事務所移転で…」 事件の背景を検察指摘

検察側は「繁華街近くに事務所を移転したのをきっかけに、キャバクラ通いや高級ブランド品の購入に預かり金を使うようになった」、「預り金口座の残高の減り具合が早いと事務員に指摘されると、その場で取り繕うなどしていた」、「預り金で穴埋めが難しくなると、両親から少なくとも4000万円の借金をした」と述べました。

また、「家庭裁判所から成年後見人としての報告書の提出を催促され、横領の発覚を免れるため、預金通帳のコピーを切り貼りして取引履歴を偽造して添付した」と指摘しました。報告書を提出された家庭裁判所の担当者は「弁護士資格を持つ成田被告から提出された報告書の内容が事実と違うとは思わなかった」と話しているということです。

弁護側は情状酌量を求める方針とみられます。

成年後見制度セミナーで講演も 成田被告とは?

成田被告は2000年10月から今年4月まで広島弁護士会に所属していました。福山市内で事務所を構え、広島弁護士会福山地区会長や法テラス広島副所長などを歴任。成年後見制度のセミナーで講演もしていました。今年4月に退会し、10月、広島地検に在宅起訴されていました。

来年1月19日に開かれる次回の公判で結審する予定です。

公判後、RCC記者が成田被告に直接取材しました。

公判後、記者が成田被告に直接取材した際の一問一答

記者「成田さん、RCCの記者です」
成田被告「お話しできませんよ、今、公判中ですから」

記者「“成年後見制度を悪用”ということで、弁護士会も憂慮しているようです。そのあたりは?」
成田被告「いや、ちょっとお答えできないんで、すみません」

記者「なぜ預り金を遊興費などにあてるようになってしまったんでしょうか?」
成田被告「何回も申し上げてますが、すみませんけど、お話はできないです」

記者「今後、然るべきタイミングが来たら、お話しいただけますか?」
成田被告「うーん、そこも含めて、今ちょっとお話しできない」

記者「弁護士というお仕事、それから成年後見制度の信頼性に与えた影響は甚大だと思うんですけど、そのあたりについて一言うかがえますか?」
成田被告「すみません、その点も含めてお話しできないんですけど。申し訳ありませんけど」

記者「この事件を起こしたことへの感想は何かありませんか?」
成田被告「すみません、そのことも含めてお話はできないんだけど」

記者「陳謝の言葉みたいなものは現時点ではない、ということですか?」
成田被告「いや、そのことも含めて、お話しできません。いろいろ聞きたいことがあるのは私も重々わかるんですけど、私も今、こういう立場ですので、今の時点でお話しできることはない。すみませんけど」

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