岸田首相、昨年「1千万円以上パーティー」6回 「大臣規範」を事実上無視

岸田文雄首相(資料写真)

 「閣僚在任中は大規模政治資金パーティー開催を自粛する」とした「大臣規範」を岸田文雄首相が事実上無視し、昨年1年間で6回にわたり収入1千万円以上のパーティーを開いて1億4千万円を得た上に、その利益率(手残り)が9割に及ぶことが国会内で新たな火種となっている。自民党安倍派の政治資金パーティー券収入キックバック疑惑などを巡り8日には衆院予算委員会の集中審議が開かれるが、首相も自身の“集金術”に関して批判を浴びるのは必至だ。

 先日公開された2022年分の政治資金収支報告、参院予算委での立憲民主党の杉尾秀哉氏、共産党の田村智子氏(全国比例、党南関東担当)の質疑と総務省答弁などで明らかになった。他の閣僚では林芳正外相(当時)が2番目に多い4回開催。林氏は外相退任後は派閥を預かる立場に就いており、岸田派のナンバー1、2が突出した格好だ。

 岸田首相のパーティーを主催したのは同首相の国会議員会館事務所を拠点とする「新政治経済研究会」。報告書によると、最多収入は昨年12月に都内のホテルで開いた「第42回衆院議員岸田文雄と国政を語る会」で参加者1200人と3653万円を集めたという。

 「大臣規範」は01年1月に中央省庁再編に伴い閣議決定された。在任中は「国民の疑惑を招きかねないような大規模な政治資金パーティーを自粛する」としたが、「大規模」の定義は明記していない。政治資金規正法で報告を義務付けられる収入1千万円以上の「特定パーティー」が一つの目安とされてきた。

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