「なんと1個、全部168円」品種も市場価格違うのに…価格一律のナゼ スーパーマーケットにも影落とす“人手不足”問題

静岡市のとあるスーパーで見つけた不思議な現象。よく買い物をするスーパーでふと気になったのが、果物が均一価格で売られていることでした。取材した日、5種類のリンゴが売り場に並んでいましたが、どれも168円でした。

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一方で、リンゴの主な品種の市場価格をみるとバラバラ。リンゴだけではありません。柿や梨も均一価格で売られていました。市場価格は全然違うのになぜ、くだものが均一価格のスーパーがあるのでしょうか。

静岡市駿河区の「フードマーケットマム曲金店」です。

<伊豆田有希記者>
「1、2、3、4、5種類のリンゴが並んでいるんですが、価格がなんと1個、全部168円なんです」

タカラ・エムシー上野拓社長が手にしたのは「ジョナゴールド」と「ふじ」。市場価格にすると、ジョナゴールドは1kgあたり424円。ふじは360円。しかし、売り場に並ぶと168円の均一価格です。

さらに柿は138円均一、梨は398円均一で売られていました。果物の均一価格での販売は、静岡市内のマム数店舗を中心に、2023年10月末から始まった取り組みです。どうやって、均一価格を実現しているのでしょうか。

<タカラ・エムシー 上野拓社長>
「大きさが若干、違うんです。サイズ的に。サイズを調整して、価格を合わせています」

市場価格が高いリンゴは、小さめのサイズに。一方で、安いリンゴは大きめのサイズを仕入れているといいます。

<タカラ・エムシー 上野拓社長>
「市場を通さずに農家さんから直接仕入れている。農家さん自体に、うちの価格は、今年はこの価格でいくということをお願いしてるんで、その大きさを厳選してチョイスしていただいている」

農家から直接仕入れることでリンゴの大きさを調整することなどで均一価格を実現していました。なぜ、均一価格にする必要があったのでしょうか。

<タカラ・エムシー 上野拓社長>
「セルフレジのボタンの数を極力減らすということで。リンゴっていうボタンを押せば同じ価格でやるよっていうふうにやった方が、お客さんの方も考えずに煩雑にならないかなと」

果物の均一価格に取り組んでいる「マム曲金店」は、先進的な取り組みをいち早く導入・検証する「モデル店舗」。10月末に、すべてのレジを「セルフレジ」に入れ替えました。バラ売りのリンゴ一つ一つにバーコードを貼る手間を省き、セルフレジの「リンゴ」というボタン一つで済ますために、均一価格に、踏み切ったのです。

<買い物客>
Q.リンゴの品種ごとに値段が違っていたら?
「迷います」
Q.このリンゴの品種覚えています?
「ジョナゴールド。青森のやつ。でも、確かに難しい。みかんとか(見分けるのは)無理」

均一価格の実現、セルフレジの導入。どちらもスーパーとしての生き残りを懸けた新たな挑戦でした。

<タカラ・エムシー 上野拓社長>
「いま、人手不足がどこの企業も発生していますが(スーパーは)まったく人がいないので、募集かけても来ない。レジをこういう状況にせざるを得ない。優秀なスタッフをそのまま残しながら、オペレーションをきれいに回していくのがいまの目標です」

「果物均一価格」の実現の裏には、「セルフレジを浸透させるため」というスーパーの生き残りを懸けた戦略がありました。

上野社長は、均一価格にしたことが実際にセルフレジでの時間短縮につながっているかどうかをデータ化するなどして、検証していくと話し、スーパーマーケットの存続のし烈さを垣間見ました。

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