兵庫・芦屋市教育委員の任命案、なぜ市議会は不同意? 「史上最年少市長」が推した理由と反対議員の指摘

芦屋市役所=芦屋市精道町

 兵庫県芦屋市の高島崚輔市長(26)が1日に提出した教育委員の任命案が、議会の反対を受け不同意となった。今年4月、史上最年少市長として初当選し、初の教育大綱の策定、全国初の東大研究機関との協定締結など「公教育改革」を次々と進めたが、市議会が「急進的で拙速」と待ったをかけた。人事案を巡り、何が起きていたのか。

 11月30日にあった非公開の市議会全体協議会。市は任期満了となる教育委員1人の後任に、元さいたま市教育長の細田真由美さんを任命したいと説明した。教育委員は4人で構成され、月2回の会議で教育行政の基本方針などを議論する。

 現委員が続投すると考えていた議員らは突然の変更に騒然とし、「(細田さんは)遠方に住んでいて業務が困難ではないか」「複数の要職を兼任しており、芦屋の教育が最優先されるか疑問」と質問が相次いだ。

 迎えた翌1日の市議会定例会。自民系のあしや政風会と公明党の両会派計7人が賛成する一方、共産党▽日本維新の会▽芦屋しみんの未来▽無所属-の計10人が反対。さらに、至誠会の3人が棄権し、人事案は認められなかった。

 高島市長は東大の機関との連携を模索する中で細田さんと出会い、数十時間も話し合って課題意識や教育観で意気投合した。「公教育改革を前進させられる最高の人材と考えていたので、子どもたちに申し訳ない。トップレベルの専門家が必要との考えは変わらない。対話を尽くす」と話した。

 反対した議員の1人は「芦屋に縁がない人では市民の意思や願いを反映させられない」とし、公教育改革にも「前のめりになりすぎている。市長は対話を大切にするとしているが、丁寧さが足りない」と断じた。

 市幹部は「市長に不慣れな点があり、議会への事前説明がうまくいかなかった部分もある」としつつ、「市民が市長に期待する『改革』に議会が反対した形になる。市長と議会の関係性の転換点かもしれない」とした。(村上貴浩)

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