大谷翔平 過ごしやすさだけじゃない…エンゼルスにあった“もう一つ”の心残り

(写真:アフロ)

「現地では、大谷選手は11月上旬には“本命”をすでに決めていたので、コーイケルホンディエという希少な中型犬を飼う余裕があったのだといわれています。大の愛犬家だけに、飼い始めたらほかのことが手につかなくなってしまいますから……」(在米ジャーナリスト)

12月4日(日本時間)、メジャーリーグの移籍交渉の山場となるウインターミーティングが始まった。空前のFA争奪戦となった大谷翔平選手(29)はリハビリ中に通訳の水原一平さん(38)に「6年間過ごしたLAの過ごしやすさ」が気に入っていたと繰り返し話していたという。

「もともと大谷選手が日本ハムからの移籍希望先として真っ先に挙げたのは、西海岸の球団でした。二刀流には湿度が低く、温暖な気候が不可欠だと考えていたようです。二刀流に対してエンゼルスが最も理解があったことと、北海道・苫小牧出身の水原さんがLAに一家で移住していた“なじみのある土地”だったことも’17年に大谷選手がエンゼルス入りを決めた要因の一つでした」(スポーツ紙記者)

本誌は今夏、大谷が自宅から車で15分の場所にある、日本料理の高級居酒屋に定期的に訪れていると報じた。このお店では、料理人である水原さんの実父が働いている。大谷は彼の特製メニューをテークアウトしていたのだ。

前出の在米ジャーナリストはこう語る。

「代理人のバレロ氏は当初、FAにあたり金銭面を最も重視しており、1千億円を超える契約になるといわれていました。

ところが、大谷選手が9月に右肘の手術を受け、来季は投手を断念すると決まると、リハビリや二刀流復帰を最大限バックアップしてくれるか否かが、大きな判断基準になったと聞いています。サポートする水原さんも『LAから離れたくないなぁ』と本音をもらしていたそうです。

そのため、現地メディアは連日、複数の有力球団を候補に挙げるなか、ウインターミーティング直前には同じくLAを本拠地とするドジャースを最有力視していました」

大谷の愛犬のお世話も、いまや水原さんの大事な職務の一つのようだ。

「自宅では犬を3匹飼っている水原さんは、大谷選手の愛犬と一緒に散歩することもあるそうです。来シーズン、遠征する際には水原さんの奥さんが面倒を見ることになると聞いています」(前出・在米スポーツライター)

■元相棒の愛息が生後1カ月で4度も転院

その一方で、大谷はエンゼルスに“心残り”があったという。

「それは昨季、102試合で大谷選手とバッテリーを組んでいたキャッチャーのマックス・スタッシ選手と長男のことなのです。スタッシ選手は今季、全休でした。当初、球団は『家族の事情』とだけ説明していましたが、実はその理由は、4月に約680グラムという未熟児で誕生した長男・ジャクソン君と妻・ガブリエルさんを支えるためでした」(前出・スポーツ紙記者)

予定より3カ月以上早く誕生したジャクソン君は、生後1カ月で肺炎、血液感染症、脳出血などの症状が出たため、4度転院したという。

「スタッシ選手は10月下旬に、ジャクソン君の写真とともに、家族で病いと闘っていることを公表しました。スタッシ選手はそれまで、同僚たちにも伝えていなかったのですが、9月、大谷選手のケガを知り、心配になって逆に連絡をくれたそうです。そこで初めて大谷選手はジャクソン君のことを聞き、それ以来、回復を心から祈っているといいます」(前出・在米ジャーナリスト)

かねて大谷は闘病中の子供たちへの支援を続けている。’19年1月、難病・拡張型心筋症を患った兵庫県の川﨑翔平ちゃん(当時1歳6カ月)のお見舞いに行ったことは当時、大きく報じられた。

翔平ちゃんは2カ月後に亡くなるも、集まった寄付金は心臓病と闘うほかの子供たちの命を救うことになったのだ。

「’21年11月にも大谷選手は、命の危険がある病気と闘う子供たちと、その家族を支えるカリフォルニア州の非営利組織『ミラクルズ・フォー・キッズ』に、年間MVPとア・リーグ最優秀野手に選ばれた賞金を寄付すると発表しました」(前出・スポーツ紙記者)

前出の在米スポーツライターは続ける。

「現在もジャクソン君は新生児集中治療室に入っているそうです。ただ、回復の兆候があるようで、スタッシ選手は『来季はプレーできる』とエンゼルス側に話していると聞きました。大谷選手も元相棒の来季復帰をとても喜んでいると聞きました。“自分がまず打者として復活して活躍することが、ジャクソン君の回復につながる”と考えているといいます」

11月9日、大谷が日本国内の国立67校、公立1万8千668校、私立244校、特別支援学校1千13校、計1万9千992校もの全小学校に、約6万個のグローブを寄贈すると発表したことは記憶に新しい。

「子供たちが野球に親しめる環境を作ることで、野球を活性化したいと考えたそうです。

そんな大谷選手の今回の決断の背景には、『子供たちに夢を与えられるプレーを全力でできる』環境が整っていたからということに尽きるでしょう」(前出・在米スポーツライター)

12月1日、最も今季活躍した指名打者に贈られる「エドガー・マルティネス賞」が発表され、アメリカンリーグでホームラン王を獲得した大谷が同賞を3年連続で受賞した。

数々の受賞ラッシュは世界中の子供たちの笑顔につながっている。再出発となる来季の大谷にかかる子供たちの期待は、さらに大きくなっていく――。

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