元西宮市議、政活費で二重受給か 交通費を市会とNPOから 「故意ではない」と弁明 防災士会経費流用疑惑 兵庫

大石伸雄氏が請求した政務活動費の書類や領収書のコピー。日本防災士会からも二重で交通費を受け取っていたとみられる(撮影・吉田敦史)

 元兵庫県西宮市議の大石伸雄氏(75)が副理事長を務めていたNPO法人「日本防災士会」(東京都)から経費流用を指摘されている問題で、大石氏が東京などに行った際の交通費を同法人と市議会の政務活動費(政活費)から二重に受け取っていたとみられることが4日、神戸新聞社の取材で分かった。二重支給は2021、22年度だけで18件、計約55万円分が確認され、税金が原資の政活費を不正に得ていた疑いが浮上した。(山岸洋介)

 防災士会の関係者によると、内部監査で判明した。大石氏は取材に、二重受給は故意ではないとしている。

 大石氏は市議を務めていた17年に日本防災士会の副理事長に就任。今年4月の市議選で落選し、副理事長を退任した。それまでは頻繁に地元と東京などを往復し、防災関連の研修や会合などに足を運んでいた。会の業務として防災士会から交通費が支給された一方、大石氏は政活費でも重複して交通費を計上していた。

 21年6月19日には、政活費の収支報告書に「日本防災士会理事会+総会+研修会」と支出の目的を記し、防災士会からも「総会」の交通費を受給。また、21年4月19日の政活費の資料には「全国日台友好議員協議会総会」と横浜市と西宮市を往復した新幹線の交通費を記し、同日に防災士会からは「執行部会」で東京と西宮を往復した交通費の支払いを受けていた。

 また乗車した新幹線は、防災士会には「腰痛のため」としてグリーン車の料金を請求し、政活費は普通車指定席の料金を求めていた。

 防災士会関係者は「法人経費と政活費のどちらで支出されるべきかは検討が必要だが、二重支給は不正だ」と指摘している。

 大石氏は取材に「政活費の手続きの時期は忙しかったので、精査せずに誤って計上してしまったのだろう。故意ではない。市議会事務局から返還を求められれば返す」と説明している。

【政務活動費】 地方議員の調査研究や広報などに必要な経費の一部として、議員報酬とは別に議員や会派に費用が支給される。領収書や明細書などを添付した収支報告書を議長に提出し、使わなかった分は返還する。支給額は兵庫県議会が議員1人当たり月額45万円、神戸市会が同38万円、西宮市議会が同12万円。西宮市議会は2015年から領収書など全ての関係書類をホームページで公開している。

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