F1参戦に向けてドライバーを探すアウディ。現在の本命はアルボンか

 アウディはF1参戦に際し、アレクサンダー・アルボンが過去2年、ウイリアムズF1チームで素晴らしいパフォーマンスを見せたことに注目し、彼の獲得を狙っているようだ。

 アルボンは、F1参戦初シーズンの途中にトロロッソ(現アルファタウリ)からレッドブルに移り、苦戦した後にレッドブルから離れ、ウイリアムズで新しいスタートを切った。アルボンは見事に立ち直り、今や実力を高く評価されている。

2023年F1第19戦アメリカGP アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)

 レッドブル代表クリスチャン・ホーナーは、一時、アルボンを取り戻そうと考え、ウイリアムズに対して、セルジオ・ペレスとの交換を申し出たとすらいわれている。しかしウイリアムズ側はこれを受け入れなかった。さらにアルボン自身は、ウイリアムズ代表ジェームズ・ボウルズやチームオーナーのドリルトン・キャピタルらに対し、レッドブル陣営に戻る気は一切ないという意向を、再三示した。彼はレッドブルはマックス・フェルスタッペンに集中しており、自分を公平に扱わなかったと感じているのだ。

 レッドブルはアルボンの再獲得に失敗したようだが、この数週間、他のチームが彼に強い関心を示し始めている。それはザウバーと提携して2026年からF1に参戦する予定のアウディだ。

アウディがF1参戦を発表、ロゴ入りショーカーを披露

 アウディは、2025年から実力が確立されたドライバーを獲得することを目指し、カルロス・サインツやシャルル・ルクレールにアプローチしたが、ふたりともフェラーリとの契約を延長する意向であり、アウディの企ては失敗に終わった。ルイル・ハミルトン、ジョージ・ラッセル、ランド・ノリス、オスカー・ピアストリも現チームに中長期的に残ることが決まっており、CEOアンドレアス・ザイドルには選択肢がなくなり始めている。

 当初彼は、ドイツ出身のニコ・ヒュルケンベルグの獲得を希望していたが、アウディ取締役会から決定的な賛同は得られなかった。ヒュルケンベルグはハースでチームメイトよりも明らかに良いパフォーマンスを示してはいるものの、来年末には37歳になっている。

 エステバン・オコン、ピエール・ガスリーも2025年に向けて悪くない選択肢ではあるが、アルボンの方がパフォーマンスが安定しており、レーステクニックは現役ドライバーのなかでトップクラスであり、さらにメルセデスのパワーユニットについての知識も持っている。

 アウディとアルボンの交渉は始まったばかりだが、ザイドルは、アルボンあるいは他の優秀なドライバーを確保するためには急ぐ必要があるだろう。2024年末で現契約が切れるドライバーたちは多いものの、この冬の間にも、将来の契約を確定させる者が出てくる可能性があるからだ。

2023年上海モーターショー F1プロジェクトのプレゼンテーションを行うアウディAG取締役会会長マルクス・ドゥスマン

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