茨城大がピアエデュケーション導入 心肺蘇生知識、仲間と共有 学び素直に、責任感も

心肺蘇生の手順を説明する講師役の学生=水戸市文京

茨城県水戸市文京の茨城大教育学部は本年度、心肺蘇生法を学ぶ講義で、対等な関係で知識を共有することで教育効果が高まるとされる「ピアエデュケーション」の手法を導入した。保健体育選修と養護教諭養成課程の4年生が講師役となり、他の教科選修やコースの4年生に心停止の基礎知識や胸骨圧迫の方法について教えた。同大によると全国的にも珍しい取り組み。

「正常な心臓の動きを両手で表現してみて。じゃあ心停止は?」。講師役が呼びかけると、学生の多くは、それまで動かしていた両手をぴたりと止めた。講師役が「そう思うよね? ぶるぶるとけいれんした状態も実は心停止なんだよ」と伝えると、学生からは「へー」と驚きの声が漏れた。

講義は11月22日、教職課程の必修科目「教職実践演習」内で行われた。講師役は2、3人が組になり、11教室を手分けして、スライドを用い学生の基礎知識や意見を確認しながら講義を進めていく。講師役のフランクな態度に、学生は繕わず素直に受け答えをした。

最新の中学、高校の保健体育の学習指導要領では、自動体外式除細動器(AED)を含む心肺蘇生法をできるようにすると定めており、教育現場における重要性が高まっている。スライドを制作し、講師役を務めた保健体育選修の岡野理人さん(21)は「教えることでより知識が定着し、責任感も芽生えた」と振り返った。受講した上野美優さん(22)は「同い年の彼らが身に付けたことなら、私にもできるはずだと素直に思えた」と、ピアエデュケーションの効果を実感した様子だった。

担当の上地勝教授は「同世代で、使い慣れた言葉で伝えられる。同い年の学生が講師役をしたことで、互いの自覚を促す意味でも成果があった」と高く評価した。

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