馬のアレを見れば馬の感情が分かる!今後馬の見方が変わる馬の性質や種類を紹介

12月はイベントが多く、ワクワクしている方も多いのでは。

数ある師走の風物詩の中、注目したいのが中山競馬場で行われる「有馬記念」です。

毎年さまざまなドラマがあり、競馬ファンではない人にも広く認知されています。

「競馬の話?」と眉をひそめる方もいるかもしれませんが、近代競馬は「スポーツ・オブ・キングス」とも呼ばれる格式のあるスポーツ。

日本では1862年に初開催されたといわれており、約160年もの歴史を持つんですよ!

この記事では「馬についてよく知らないし……」という方に向け、馬についてのあれこれや馬の種類をご紹介します。

馬ってどんな動物?人類の発展に大きく貢献

馬の祖先は約5500万年前に生息した「エオヒップス(ヒラコテリウム)」と呼ばれる動物で、元々はキツネくらいの大きさでウサギに間違えられることもあったのだとか。

主な生息地は森でしたが、草原で暮らすようになってから首が伸びたり足が長くなったりしたようです。

馬は人間の暮らしに深く関わり、生活に欠かせない存在でした。

馬とはどんな生き物なのか、詳しく見ていきましょう。

人間の生活を支えてきた「家畜」

紀元前の人たちは、馬を食用として飼育していたようです。

時代が進むと騎乗用としても飼育されるようになり、馬に荷車を引かせる馬車も開発されます。

これにより人間はより遠くまで行けるようになり、東西地域の交流も盛んになったのだとか。

例えば世界の東と西を結んだ「シルクロード」を使った貿易は、馬なしでは成立しなかったといわれています。

日本に馬が入ってきたのは4~5世紀ごろで、朝鮮半島から持ち込まれたといわれています。

農耕馬あるいは騎乗用として飼育され、人々の生活になくてはならない存在となりました。

戦国時代には、名馬に乗ることが「武士の誉れ」と考えられていたそうです。

馬が日本人にとって大切な存在だったことは、お祭りを見れば一目瞭然。

日本各地には、今も馬にちなんだお祭りがたくさん残っています。

性質は臆病で穏やか

草食性の馬は、基本的には臆病でおとなしい性質です。

自ら攻撃することはほぼありませんが、恐怖心がマックスになると暴れ出したり噛みついたりすることもあります。

馬の臆病な性質は、草原でオオカミなどの天敵を警戒しながら暮らした時代の名残です。

耳や目のよさは人間とは比較にならず、周囲のわずかな変化も見逃しません。

▼馬の耳

馬の耳には10もの筋肉があり180度回転できます。

音には非常に敏感で、聞き慣れない音・不安な音にはすぐに反応する傾向です。

▼馬の目

馬の視界は350度にもわたる上、左右それぞれの目で別々の物を見られます。

見えすぎるほどに物が見えてしまい、自分の影に怯える馬もいるのだとか。

競馬レースで、目の周りにブリンカー(遮眼革)やシャドーロール(鼻の上に付ける馬具)を付けている馬を見たことはありませんか?

これはおしゃれに見せるためではなく、馬の広すぎる視界を遮るためのものです。

馬によっては、他の馬や地面の影に怯えて走れなくなることがあります。

特殊な馬具で余計な物を視界に入れないようにすることで、馬をレースに集中させているのですね。

馬の気持ちを読み取るポイント

馬の感情を知りたいとき、ヒントになるのが「耳」です。

馬の性格にもよりますが、耳の動きには馬の心情が反映されます。

馬に触れるとき・馬を見るとき、馬の気持ちを測るヒントにしてみてくださいね。

耳が左右フラットに倒れている:落ち着いていて、リラックスしている

耳を前方に向け、細かく動かしている:周りの環境に警戒している

耳をせわしなく動かしている:不安を感じている

耳を後方に倒している:不快感を覚えいて、非常に機嫌が悪い

耳のほか、口の動きでも馬の感情が分かることがあります。

例えば馬が口をモグモグさせているのは、リラックスしている証拠。

また微笑んでいるように見えるときも、機嫌は悪くありません。

馬の好物

「馬といえばニンジン」というイメージがありますが、必ずしもニンジンが1番というわけではありません。

馬は甘い野菜やフルーツが大好き。

バナナやかぼちゃ・リンゴなどを好んで食べます。

角砂糖や黒砂糖も大好きで、競走馬・乗馬用の馬にあげる定番のご褒美は、角砂糖が多いのだとか。

ちなみにJRA(日本中央競馬会)のマスコットキャラクター「ターフィー」の好きな食べ物は、「ニンジンとリンゴのポワレわら仕立て角砂糖和え」です。

参照:ターフィーランド

馬の種類 大型は1トン超

馬の品種は200以上あるといわれており、分類の方法もさまざまあります。

ここからは、分類方法としては一般的な「馬の体格」による分類をご紹介します。

軽種

文字どおり軽量かつスマートな体型をした馬です。

競走馬や乗馬用の馬が該当し、体重は400~500kg程度。

身のこなしが俊敏で、走るのが速いのが特徴です。

競馬用のサラブレッドは、時速60~70kmで数分間疾走できるのだとか!

【代表種】

サラブレッド:競走用に品種改良された馬

アルハケテ:トルクメニスタン原産の馬

リピッツァナー:オーストリアで品種改良された馬

中間種

軽種と重種の中間くらいの大きさの馬です。

軽快さと安定感を備えており、馬術競技やウエスタン乗馬などで活躍しています。

性格も穏やかで、扱いやすい馬が多いのだとか。

さまざまな品種が存在しますが、筆者のおすすめはフリージアンです!

おすすめの理由は、圧倒的な見た目の美しさ。

たてがみや尻尾が豊かで、ウェーブしている個体も少なくありません。

コンテストの優勝馬には「馬界一のイケメン」などとたたえられる、美しい馬が数多くいます。

【代表種】

クォーターホース:アメリカ原産の馬。世界で最も頭数が多い

フリージアン:オランダ北部原産の馬。体力・俊敏性・知性に優れる

※フリージアンは重種に分類されることもあります。

重種

農耕用・運搬用に品種改良された馬です。

力仕事が得意なパワー派で、1トンを超えるものも存在します。

馬車馬・挽馬・ショー用の馬に多く、日本のばんえい競馬の馬も重種です。

性格は穏やかでのんびりしており、扱いやすい馬が多いといわれます。

【代表種】

ペルシュロン:フランス・ノルマンディー原産。大きな馬は、体高2mを超える

ベルジャン:ベルギー原産で、体高は160~170cm

ポニー

体高1.47m以下の馬の総称です。頭がよい・おとなしい・温厚という性質を持ち、人間にもよく慣れます。

見た目もかわいいので、動物園などでは人気者です。

【代表種】

シェトランドポニー:イギリス原産。体高100cmくらい

ファラベラ:アルゼンチン原産。体高80cmくらいで、主にペット用

日本の固有種は8種

日本の一部の地域では、昔から人々の暮らしに寄り添ってきた馬の品種が残っています。

馬はモンゴルから朝鮮半島を経て渡って来たといわれ、江戸時代には20種類もの日本固有種が存在しました。

しかし明治時代に交配が進み、現存する固有種は8種のみとなっています。

「種の保存が必須」といわれる、日本の固有種を見ていきましょう。

北海道和種

北海道を中心に飼育されており、体高は約130cm・体重は約350~400kgです。

日本の固有種では最も数が多く、約1,800頭いるのだとか。

毛の色は鹿毛(赤褐色)、河原毛(淡い黄褐色)、月毛(クリーム色)までとさまざまです。

「道産子」の愛称で親しまれています。

木曽馬

長野県の木曽地域や、岐阜県の飛騨地方を中心に飼育されている馬。

体高は約130~140cm、体重は約350kg~420kgです。

他の馬よりも盲腸が長く、お腹がぽっこりしているのが特徴。

現在残っているのは200頭ほどで、長野県では天然記念物に指定されています。

野間馬

愛媛県今治市・野間地方で飼育されている馬です。

ほとんどは鹿毛(赤褐色)か栗毛(黄褐色)で、体高は約110~120cmしかありません。

一時は絶滅寸前にまで頭数が減少しましたが、現在80頭まで増えています。

かしこくおとなしいことで知られており、ホースセラピーなどで人気です。

御崎馬

宮崎県串間市の都井岬に生息する馬です。

約2000年もの昔に中国大陸から渡って来たとされ、国の天然記念物にも指定されています。

体高は約100~120cm・体重は約300kg前後で、どの馬も足首が黒いのが特徴です。

都井岬に牧場がありますが、人の手を加えない方法で管理されています。

観光で見ることは可能ですが、触れたり近づいたりするのは厳禁です。

対州馬

長崎県対馬市付近で飼育される、体高は約110~130cmの馬です。

かつて元寇があったとき、鎌倉武士を乗せて活躍したといわれています。

元々は青毛(黒色)だったといわれますが、近年は鹿毛(赤褐色)や栗毛(黄褐色)も少なくありません。

頭数は少なく、現在見られるのは約30頭です。

絶滅リスクが高く、保存会で保存されています。

トカラ馬

鹿児島県のトカラ列島(鹿児島郡十島村)で飼育される馬。

体高は約100~120cmで、ほとんどが鹿毛(赤褐色)です。

発見されたのは1952年に入ってからで、それまで存在が知られていませんでした。

現在は、鹿児島県の天然記念物に指定されています。

宮古馬

沖縄県宮古島で飼育されている馬で、体高は約110~120cm。

宮古島でサトウキビ栽培が始まったとき、大活躍したといわれています。

おとなしく人にもよく懐くことから、琉球王国時代には王様の馬としても重用されました。

現在約40頭しか残っていませんが、宮古島の乗馬施設で乗馬が可能です。

与那国馬

沖縄県の与那国島で飼育されている固有種で、体高は約110~120cmです。

宮古馬と同様におとなしく優しい性格をしており、王朝時代は農耕用や琉球競馬として活躍しました。

離島の固有種であるため他品種との交配がなく、昔のままの姿が残っています。

まとめ

現代人にとって馬は身近な生き物……というわけではありませんが、人間の生活に深く関わってきた生き物です。 触れあうチャンスがあれば、ぜひ撫でたりさすったりしてあげてください。かわいい表情やしぐさに魅了される人も多いのではないかと思います! またサラブレッドは競走用に改良された種とあって、走る姿の美しさは格別です。 馬の性格の違いやエピソードも調べてみると面白く、競馬レースを楽しく見られるかもしれません。 有馬記念について、「競馬なんて……」と敬遠せず、「きれいな馬が走るレース」としてチェックしてみてはいかがでしょうか。 文/カワサキカオリ

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