ドローン 人混み避け飛行 茨城・つくば 都市部輸送向け実験

検体を運搬するドローンの実証実験=つくば市天久保

人の多い地域で補助者が目視しなくても飛べるドローンの「レベル4」飛行を想定し、血液検体を輸送する実証実験が4日、茨城県つくば市内で公開された。人口密集地でもスマートフォンの位置情報を基に人通りが少ない飛行ルートを設定し、病院と検査機関との往復2キロ余りを運搬。今後は都市部でのレベル4飛行に関する制度整備に向け、国交省などへの提言を目指す。

実証実験は、KDDI(東京)とKDDIスマートドローン(同)が、市や筑波大付属病院、近隣のクリニックなど計9者の協力の下、11月20日から行われていた。

同社によると、レベル4飛行は昨年12月に解禁されたが、飛行区域は国勢調査に基づく低人口密度の環境にとどまるなど、現状では都市部での運用が難しいという。

今回の実験では、対象地域を125メートル四方のエリアに分け、スマートフォンの位置情報で人流データを取得。エリア内で人の流れが少ない飛行ルートを設定した。実験で使用したドローンは、縦1.7メートル、横1.5メートルの物流専用機種。

ドローンは同市天久保の検査機関「つくば臨床検査教育・研究センター」を出発し、同市春日の医療機関グラウンドで患者の血液検体を積み込んだ後、高さ約30メートルを飛行して出発地の同センターに戻った。移動距離は往復2.2キロで、かかった時間は約7分。飛行は「レベル2」相当で、補助者がドローンからの映像や現場を見ながら安全を確認した。

検体は現在、陸路でまとめて運んでいるが、ドローンで輸送頻度を上げることで検査のスピードアップが期待される。

共同で実験に取り組んだKDDIスマートドローンの博野雅文社長は「現在は都市部での飛行は限られている。運用の適用エリア拡大に向け、人流データを用いたドローンの社会実装を進めたい」と述べた。

同大付属病院感染症科長の鈴木広道教授は、ドローンによる検体空輸について、災害時輸送の効率化など利点を指摘。「検体輸送の空輸ネットワークを構築し、検査結果が迅速に得られるようになれば医療サービス向上につながる」と期待を寄せた。

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