県、2024年度予算編成の要求概要を公表 2.8%減、総額6622億円

山形県庁(資料写真)

 県は4日、2024年度予算編成に向けた各部局の要求概要(一般会計)を公表した。新型コロナウイルス対策関連費が減少し、総額は6622億円。23年度の要求額比で3.7%、当初予算比で2.8%のマイナスとなった。山形新幹線米沢トンネル(仮称)の整備に向けた基金創設や熱中症から児童生徒を守る対策費を盛り込んだ。

 前年度要求額を下回るのは2年連続。当初予算を下回るのは6年ぶり。規模は要求概要の公表を始めた07年度分以降で4番目に大きい。政府の地方財政対策などを勘案しながら段階的に査定し、来年の県議会2月定例会に当初予算案を提示する。

 部局連携、外部連携、外部資金獲得のいずれかで取り組む場合に所要額を要求できる「施策展開特別枠」は7事業(計5億700万円)を掲げた。このうち「地球温暖化対策」は9400万円を計上し、下校中の熱中症対策として市町村による臨時バス・タクシー借り上げ費用支援、児童養護施設の体育館への可搬式冷房装置導入支援が含まれる。

 「外国人材の確保対策」の要求額は6300万円。繁忙期が異なる他県と連携した農業分野の人材受け入れ、外国人が安心して暮らせる環境整備などに取り組む。「新時代を担う人材育成とスタートアップ創出事業」は、「ヤマガタリアルメタバース研究所」を中心に若者が集う場の構築、クロスリアリティー(XR)を活用した起業推進に1億2千万円を要求した。

 特別枠以外は、米沢トンネル整備の将来負担を想定して基金創設を計画し、積立金約5億円を計上した。また、調査負担金2億7700万円を盛り込んだ。

 ほかの事業は▽洋上風力発電事業の波及効果の調査や地域の将来予測(3千万円)▽犯罪被害者や遺族への見舞金支給制度の創設(500万円)▽医師会と連携した医業承継支援(1530万円)▽保育士が産休育休を取りやすくするための代替職員の人件費支援(2800万円)―など。

 人件費は県人事委員会勧告に基づく給与改定や定年年齢の段階的引き上げを加味し、23年度当初比で6.2%増の1531億円。社会保障関係経費は新型コロナ医療費の公費負担がなくなるなどし0.1%減の701億円、公債費は過年度の投資的経費の県債償還元金増などで1.3%増の889億円。一般行政費等はコロナ自宅療養者向け食料支援や医療機関の空床補償がなくなり、9.1%減の2625億円とした。

 投資的経費は3.4%減の875億円。内訳は、公共事業が道路改築事業の進展などに伴い4.4%増の377億円。単独事業は東北農林専門職大学(新庄市)の整備終了のほか、寒河江工業高や致道館中学校・高校の整備が進み、17.1%減の271億円。国直轄事業負担金は16.1%増の137億円を見込む。

© 株式会社山形新聞社