トヨタが1000億円、環境・社会課題向けの社債 名鉄は消費電力50%減の車両開発費に 東邦ガスなども

テレビ愛知

名古屋鉄道の車両で導入された省エネ車両。モーターの制御装置にエネルギー損失の少ない半導体を使用することで、消費電力を従来の車両よりも約50%減少させることができます。車両の開発費用の一部に使われているのが「サステナビリティボンド」と呼ばれる債券です。環境・社会課題に取り組む企業の資金調達のために発行されます。

こうした取り組みは「サステナブルファイナンス」と呼ばれ、各企業が力を入れています。一体どのような取り組みなのか、中日BIZナビの大森準編集長に解説してもらいます。

SDGsに前向きに取り組み、信頼性を高めたい

債権ファイナンス

――なぜ各企業がサステナブルに力を入れているのでしょうか。

国連の持続可能な開発目標「SDGs」という言葉は最近よく耳にすると思います。そのようなSDGsへの関心が世界的に広がる中、SDGsに前向きに取り込むことで信頼性を高めようと考える企業や投資家が増えていることが背景にあります。

――最近では債権、ファイナンスといった形も流行になっているそうですね。

企業にとっては環境問題や社会問題に取り組む上で、必要な資金を調達する必要があります。この趣旨に賛同するような投資家の方が引き受ける形で、実現につなげる取り組みが国内外で広がってきたことがあると思います。

そうしないと生き残れない、選ばれないのだと思います。

トヨタ自動車や東邦ガスもサステナブルファイナンスに取り組む

東海地方の企業

東海地方にも、サステナブルファイナンスに取り組んでいる企業があります。

■東邦ガス
100億円の社債を発行しました。目的は二酸化炭素をリサイクルして都市ガス原料となるメタンを作る技術、「メタネーションの実証実験」の資金を調達するためです。

■トヨタ自動車
1000億円の社債を発行しています。自動車の先進安全技術や、排気ガスを出さない電気自動車普及のために債券を発行しています。

【そのほかサステナブルファイナンスに取り組む企業】
・中部電力
・日本ガイシ
・豊田通商
・名古屋銀行
・大同特殊鋼 など

「実効性があるのか」厳しい見方をする海外投資家も

課題

――大きな企業がサステナブルファイナンスに取り組んでいますね。

元本と利息を予定通りに返す必要があるので、信用力がある大手の優良企業が、社債発行をするようになります。一方、中小企業は金融機関からの融資をサステナブルローンとして受ける形で、社会問題や環境問題に取り組む資金を調達する取り組みも広がっています。

――サステナブルファイナンスを行う上で課題はありますか。

サステナブル関連の債権は、外部の要件を満たす必要があります。一部の事業において「本当に実効性があるのか」と海外投資家などからは厳しい見方をする動きもあります。定期的にチェックすることが必要という指摘も出ています。

サステナブルファイナンスに取り組むには、実効性があることを外部や社会に対してしっかり説明することが求められます。研究段階のものも含めて、効果やどのような結果を出すのかという過程を分かりやすく示すことが大事だと思います。

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