【超速報】スノーピーク史上初の薪ストーブ付きテント『リゲル Pro. ストーブプラス』、100万円超えの超ハイエンドモデルの凄さを徹底取材!

スノーピークの悲願であった「幕内で安全な焚き火体験ができるテント」が、2023年11月に誕生。メーカーが公式にテント内でのストーブ使用をOKとしたプロダクトは、恐らく世界初ではないでしょうか。発表と同時に話題になったのは、"148万5千円"という価格。なぜこんなに高いのか?リゲルPro.ストーブプラスの本当の凄さを、スノーピーク開発担当者に徹底取材しました。

リゲル Pro. ストーブプラスの本当の凄さはどこにあるのか?

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2023年12月2日(土)、3日(日)の両日にスノーピーク箕面キャンプフィールド(大阪)で開催されたスノーピーク スペシャルミーティングにて、この11月末に発売になったばかりの新作テントの実物を拝んできました!

冬のキャンプシーンを変える、スノーピークの新しいフラッグシップシェルター『リゲル Pro. ストーブプラス」です。

実際に幕内でストーブを焚いた状態を体感しながら、リゲルPro.の開発担当者へ「なぜこんなに高いのか?」「どのようにして安全性を担保しているのか?」を徹底取材しました。商品のスペック情報だけでは分からない、リゲルPro.ストーブプラスの本当に凄いところを徹底解説していきます!

今回お話を伺ったのは、製品開発担当の金子さん

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リゲル Pro. ストーブプラスの凄いポイントはここだ!

「焚き火体験」をとても大切にしているスノーピーク。幕内で焚き火ができるテントは、ずっとやりたかったと言います。昨年、創業2代目・山井太氏が社長に戻ったことで一気にアクセルがかかり、リゲル Pro. ストーブプラスは、1年という短期間のうちに完成しました。

しかし、約150万円という価格に驚いた人も少なくないはず。

なぜこんなに高いのか。

そして、これまで火器メーカー各社が安全性の観点から「絶対に締め切ったテントの中で使わないでください」とされていたストーブのテント内使用をOKとすることができたのはどうしてか。

開発担当者の金子さんに、根掘り葉掘り聞いてきました!

温かいのは当たり前。焚き火ができることが一番のポイント

まず最初に、リゲル Pro.ストーブプラスの一番凄いポイントはどこなのかを聞いてみました。

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リゲルはどこが一番凄いんですか?「冬のキャンプシーンを変える…」というコピーからは、テント内の温かさなのかな〜と思いましたが。

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一番の凄さは温かさじゃないんです。

温かいのは当たり前という前提で、スノーピークが大切にしている「焚き火体験」を幕内で安全に楽しめることなんです。

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温かいのは当たり前で、焚き火の炎を最大限に味わえるように、大型の4面ガラスのストーブをテントと一体のものとして開発。そして、メーカーから公式に出す「テント内で使えるストーブ」として、安全性を徹底的に追求したそうです。

実際にその4面ガラスの巨大なストーブを見ると…圧巻です。ストーブ本体が写真で見るよりもかなり大きく感じ、4つのガラス面からは綺麗な炎が見えています。

ガラスはとても大きく、もはや「ガラス窓」ではなく、ストーブそのものがガラスでできているような印象。

炎がすごく大きいので、まさに焚き火を眺めているような感覚です。

安全性をどのように実現したのか?

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しかし、「幕内で焚き火…」はこれまでとても危険な行為とされていました。メーカーが公式で使用OKと言うために、どんな工夫をされたのですか?

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一番のリスクは、やはり一酸化炭素中毒です。

煙や炎は目に見えるので「危ないな」と気づくことができるのですが、一酸化炭素は目に見えず匂いもないので、発生を感知できない。それが怖いところなんですよね。

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一酸化炭素の比重は空気と変わらないので、テントのどこにいても一酸化炭素中毒のリスクがあります。

開発時には、テント内での一酸化炭素の動きを徹底的に検証し、様々な"意地悪テスト"を行ったそうです。

例えば、ストーブの薪投入口を開けっぱなしにして、わざと湿った薪を入れて熾火にする。これだと、薪が不完全燃焼になり煙がもくもく…。一酸化炭素中毒のリスクが極めて高い状態になります。

そういった「危ない状況」をあえて作り出し、テント内の一酸化炭素濃度を測定するといったテストを繰り返したそうです。

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スノーピークが自分達で実地検査をするだけでなく、外部の専門家にテント内での一酸化炭素の動きをデジタルシミュレーションをしてもらいました。

あらゆる仮説を専門的に検証し、全てクリアしました。

そのような検査を乗り越えて完成した「メーカー公式の安全なストーブテント」なのですが、さらに安全性を高めるために、リゲルProストーブプラスを購入する際には、スノーピークが実施する「講習」を受けることを必須としているのだとか。より安全に使用してもらうために、ユーザーへのフォローも念入りです。

安全性の鍵を握るのは「幕の構造」

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なぜ一酸化炭素が発生しても大丈夫なんですか?どんな仕組みになっているのでしょうか。

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ストーブの性能が凄いということもありますが、実は、幕の構造が重要なポイントなんです。

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リゲル Pro.ストーブプラスは、「フルフライシート」というフライシートがシェルター全体を覆う構造となっています。

これは、テント内の「温かさ」を担保する役割があり、このフルフライのおかげでストーブを囲んだ時に背中が冷えるということがないそうです。

しかし、実はリゲルPro.のフルフライ構造の真価は、上昇気流で天井に昇った空気をテント外に排出する役割なんだとか!

テント内の空気は、ストーブの熱によって天井に溜まりますが、その空気は、天井部分の剥き出しになったフライシートにぶつかり、速やかにフライシートとシェルの2重構造の隙間に吸い込まれていきます。

このような動きによって、天井にぶつかった空気が再びテント内に戻ってくることがないそうです。

意地悪テストでテントの中にいくら一酸化炭素を発生させても、常に換気されているため、テント内の一酸化炭素濃度が上がることはなかったと言います。

幕全体を覆うフルフライシートはスノーピーク史上初の試みです。温かいだけでなく、一酸化炭素に対する安全性も支えているんですね!

一酸化炭素チェッカーが2つ付属

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リゲル Pro. ストーブプラスには、2つの一酸化炭素チェッカーが付属。このチェッカーにも、スノーピークのこだわりが詰め込まれています。

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この一酸化炭素チェッカーは、スノーピークが国内の測定機器メーカーに依頼して特注で製造されています。その全ての製造工程が「国内」であることがポイントなのだとか。

組み立てや部品の一部が海外で…という商品も少なくない中で、スノーピークが「国内製造」にこだわった理由は、どのように作られているのかをスノーピークが把握することができるというトレーサビリティーを重視したこと。これは、機器自体への安全性に大きく影響します。

また、機能としても特質すべきポイントが。一般的な一酸化炭素チェッカーは、濃度上昇を検知した時に音によるアラートだけであることが多いと思いますが、この特注チェッカーは音に加えて「光る」という仕様になっています。音と光で教えてくれるので、アラートにより気付きやすくなりますね。

専用の薪ストーブは「ただの薪ストーブ」ではない!?

さて。リゲル Pro.は、フルフライシートとストーブがセットになったモデルに加えて、インナーで使用しているシェル部分だけの単体販売があります。

価格はストーブプラスが148万5千円(税込)で、シェル単体は60万5千円(税込)。価格差は、実に88万円!なぜ88万円もの差があるのでしょうか。

その理由は、今回のテントのために作られた専用薪ストーブにありました。

凄いのは「4面がガラス」だけじゃない

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シェル単体と88万円の価格差がありますが…ストーブが88万円なんですか?

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ストーブだけじゃないです。TCフルフライシートとストーブを合わせた価格差なんです。

まず、ストーブの4面を全てガラスにすると、当然コストが上がります。薪ストーブに使われるガラスはただのガラスではなく、熱等への耐久性があるガラスですので、ガラスの大きさに比例して値段は高くなります。

これまでの薪ストーブは、テントの構造で煙突を天井のど真ん中から出すことができないため、ストーブを真ん中に配置することができませんでした。結果的に、ストーブはテント内の左右どっちかに追いやられてしまう。そうなると、ガラスを4面につける必要性はないというわけです。

そのような理由から、今まで市場に出ていたのは「最大でも3面ガラス」という商品がほとんど。

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リゲルはストーブをど真ん中に配置している」というのが、ストーブの最大のポイントです。

見たことのない煙突の機構

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ストーブをど真ん中に置ける理由は、「テントとストーブを一体のものとして開発しているから」なのだそうです。

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ストーブの上を見ると、非常にユニークな構造で煙突がテントと接続されています。テントの天井に這わせている2本のフレームの両端が、煙突を四方から引っ張っているような形。ベルトでしっかりとテンションがかけられるようになっているので、煙突がふらふらすることはありません。

通常の薪ストーブであれば、煙突はテントの外で何本かのガイローブを地面に引っ張ってペグダウンしておく必要がありますが、リゲルはテント内にこのような機構があるので、テントの外では何もしなくてOK。

テント天井の2本のフレームから伸びるベルトに煙突がぶら下がっているので、フレーム自体に下方向のテンションがかかります。これによって、テント(内側のシェルター)自体の強度にもつながっているのだとか。

このような「テントと煙突の、切っても切れない関係性」によって、ストーブをテントの真ん中に設置することができているのです。

テントとストーブをセットで開発しなければ、これを実現することはできないというのも納得ですね。

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ちなみに、煙突穴はフライシートの部分のみについていて、シェルターの天井部は常に開いた状態で使う仕様です。フルフライシートをつけずにシェルター単体で使う際には、天井部分をジッパーで閉めればOK。

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また、煙突の中の上下2箇所にスパークアレスターがついているので、火の粉が煙突から出てしまう心配がありません。ただし、それでも100%防げるわけではないので、フルフライシートをTC素材にすることで、温かさはもちろん、火の粉に対する耐性が担保されているんですね。

薪ストーブ本体は韓国のメーカーとの共同開発

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ストーブは、韓国の「Wood and Burn社」と共同開発している特注品なんです。

Wood and Burnは国内ではあまり知られていませんが、金子さん曰く、とても優れたストーブを制作しているメーカーなんだとか。

スノーピークがこだわる「極上の焚き火体験」と「安全性」を両立することができたのは、このWood and Burn社とタッグを組んだことが大きいそうです。

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例えば、前後2ヶ所にある薪の投入口。薪を入れるために投入口を開けた時に、ストーブ内の炎が外に飛び出さないように暖簾のような機構があります。この暖簾があることで、ストーブ内で非常に強い炎が出ていても、安全に薪を入れることができるそうです。

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また、内側のガラス面に空気の層が生まれるような独自設計になっているため、ガラスが煤(すす)で曇ることはほとんど起こらないんだとか。

確かに、この日見たストーブのガラス窓は、全く曇ることがなく綺麗な炎を見続けることができていました。

テーブルが一体になっているのはなぜか?

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よく見ると、ストーブの周囲を囲むテーブルが、ストーブにくっついちゃってますね。

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そうなんです。あえて、テーブルとストーブを一体型にしているんです。

一体になっていることで、ストーブの転倒リスクを極限まで下げることができています。

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このストーブがユニークであるもう一つのポイントは、「ストーブとテーブルが一体になっている」ということ。

ストーブを囲むテーブルで団欒できるようにというのはもちろんですが、実は、ストーブとテーブルを一体型にすることで、ストーブの転倒リスクをほぼゼロにしているのです。

ストーブとテーブルは、御神輿のような骨組みで結合していて、テーブルの足がしっかりと地面を捉えています。このような設計になっているので、倒そうとしても倒すことはできないほどの安定性を作り出しているのだとか。

また、このテーブルはスノーピークのIGTシステムに対応しているので、拡張性があるのも嬉しいポイントですね。

リゲル Pro.ストーブプラスの気になる収納サイズは?

購入を検討されている方がとても気になるポイントは「収納サイズ」ですよね。実際にどれくらいか、見てきました。

薪ストーブの収納サイズは?

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これだけの大きさのストーブで、さらにテーブルもついているとなると、かなりの収納サイズになるのではないでしょうか。

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それほどでもないですよ。

大型のストーブを使っている人であれば、燃料タンクと合わせるとそんなにサイズ感は変わらないんじゃないかなと。

本当でしょうか…。

実物がこちら↓。

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いや〜、、結構でかいですね。^^;

これはストーブだけでして、煙突とテーブルも入れるとどれくらいになるかと言うと、、

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やっぱかなり大きいです…。大きな車が必要ですね。

テントの収納サイズは?

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ちなみに、テントの方はどれくらいの収納サイズになりますか?

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そんなでもないですよ。

内側のシェル部分とフルフライシートそれぞれが、ランドロックくらいですかね。

…それなりの質量になりそうです。

この日、テントの方の収納状態を見ることができなかったのですが、全て込み込みでどれくらいの収納サイズになるかはイメージできました。

大型の車が必要になると推測いたします。

148万円は高いか?妥当か?命に値段はつけられません

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今回の取材を通じて、スノーピークが「リゲル Pro. ストーブプラス」を開発するためにどれだけの熱量を注ぎ込んだのか、そして「ストーブだけの単体販売はしていない理由」がわかりました。

これまで、テントとストーブを別々に購入し、安全性については必然的に「自己責任」であった冬キャンプのストーブIN。「換気のための開口をちゃんととっているから大丈夫だろう」、「一酸化炭素チェッカーをたくさん設置しているから大丈夫だろう」と、それぞれのリスク対策をされていることと思います。

しかし、透明かつ無味無臭のサイレントキラー「一酸化炭素」と隣り合わせの、非常にリスクの高い行為であることは間違いないわけなので、メーカーが自信を持って安全だと謳っているテントはやっぱり凄いです。

最初に148万円と聞いた時は、「え?誰が買うの?高すぎませんか?」と思いましたが、命に値段はつけられません。「本当に安全に冬キャンプを楽しめる」ということの価値を鑑みれば、妥当な価格設定なのかもしれませんね!

実際に、11/25(土)発売開始からすぐに売り切れたそうです。現在は入荷待ちになっているのだとか。

私も、お金と車の荷室に余裕があったら買いたいなと思いました。(今現在は、どちらにも余裕がありませんが…w)

【リゲルPro.ストーブプラス 詳細スペック】

  • 商品名:「リゲルPro. ストーブプラス」
  • セット内容
  • 材質
  • 価格:¥1,485,000(税込)

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