「シャニアニ」でアイドルたちの魅力を描くために意識したこととは?【シャニマス連続インタビュー第1回】

ゲームにとどまらず、多方面での展開を見せる「アイドルマスター シャイニーカラーズ」の連続インタビュー企画。第1回はアニメ「アイドルマスター シャイニーカラーズ」のプロデューサー・池田ななこ氏に話を伺った。

アニメ「アイドルマスター シャイニーカラーズ」(以下、「シャニアニ」)は、2024年春からのTVアニメ放送に先駆け、全国の劇場にて12話を全3章にて先行上映を実施中。現在は第2章が2023年11月24日(金)~12月14日(木)の期間で公開中、年明けの2024年1月5日(金)~ 1月25日(木)には第3章の公開が控えている。

今回のインタビューでは「アイドルマスター シャイニーカラーズ」(以下、「シャイニーカラーズ」)のアニメという点でこだわったポイントを中心に伺った。先行上映を追いかけている人はもちろん、テレビ放送を楽しみにしている人もぜひチェックしてもらえればと思う。

■全ては「シャイニーカラーズ」のアイドルたちを魅力的に描くため

――「シャニアニ」はどういった流れで制作されていったのでしょうか?

池田氏:監督のまんきゅうさんやシリーズ構成・脚本の加藤陽一さん、アニメーション制作のポリゴン・ピクチュアズといったスタッフの方々、そして高山(「シャイニーカラーズ」のプロデューサーである高山裕介氏)も含めて、「シャイニーカラーズ」を映像化するにあたってどのようなポイントをプロデューサーのみなさんに伝えていこうかというところから話し始めていきました。

――池田さんはどのような経緯でプロデューサーという立ち位置で関わることになったのでしょうか?

池田氏:私は元々「シャイニーカラーズ」のライセンスビジネスを担当させていただいておりまして、そこからアニメのプロデューサーを担当させていただくことになりました。ライセンスビジネス担当という視点をもって、グッズやコラボカフェなどでアイドルたちが輝けるようにというところは意識してきました。

――アニメということでゲームとは表現が当然変わってくるとは思いますが、構想を練っていく過程というのはスムーズに進んだのでしょうか?

池田氏:「シャイニーカラーズ」に出てくるアイドルたちを魅力的に描くために、どういう手法を用いていけばいいのかを突き詰めていけばいくほどすんなりとは決まらず、立ち戻ったりしながらも時間をかけて作っていきました。

――その中で、3DCGでのアニメ制作に着地したポイントみたいなものがあればお聞かせください。

池田氏:ダンスシーンなどさまざまな描きたい内容を考えた上で、映像的には3DCGがアイドルたちを一番魅力的に描けるのではないかというのが大きいですね。

――実際に絵作りの部分ではポリゴン・ピクチュアズとどのようなお話をして今の方向性になったのでしょうか?

池田氏:今回の映像を作る前に短めの映像をトライアルとして作っていただいたりもしていまして、その映像から見えてくる、アイドルの魅力を引き出すための方向性や改善点などを制作メンバー全員で話し合いながら、今のかたちになっていきました。

――アニメーションにおけるモーションのこだわりについて、特に意識した点をお聞かせください。

池田氏:モーションと一括りにいってもたくさんのこだわりがあるのですが、ダンスシーンの部分は特にこだわりを持って作っていて、モーションキャプチャーの撮影ではアイドルごとにアクターさんがいらっしゃって、ちゃんとアイドルの演技をしながらダンスをしていただいています。

なので振り付けにも個性が出ています。以前公開した「Spread the Wings!!」の映像ではアイドルたちが横並びになっていたのですが、その映像を見ただけでも振りのインパクトがアイドルごとに違っているのを感じてもらえると思います。

また、シチュエーションに応じた表現として、真乃だったら加入したばかりなのであまり上手じゃないかもしれない、アンティーカは1話の冒頭の部分でステージを踏んでいるというストーリーラインなので、クオリティの高いパフォーマンスをするだろうというような、ストーリー上の流れは意識しています。

――確かにレッスン中の動きというのは、上手くなっていく過程を描くバランスにこだわりを感じられました。

池田氏:真乃が加入してすぐに、灯織やめぐると一緒にレッスンをする場面があるのですが、そこはやはりどこか拙いところが出ていると思います。さらっと数秒描かれるシーンではありますが、こだわって作っているところです。

■フィルムスコアリング採用の狙いや今後の物語の見どころも

――アニメではイルミネーションスターズ、アンティーカ、放課後クライマックスガールズ、アルストロメリアの初期4ユニットの登場となっていますが、こちらの狙いなどあればお聞かせください。

池田氏:映像化にあたっては、ゲームをすでにプレイしていただいている方はもちろん、アニメで「シャイニーカラーズ」の世界に初めて触れていただく方もいらっしゃるので、みなさんに「シャイニーカラーズ」の良さを伝えるため、4ユニット16名の物語が良いのではというかたちになりました。

「シャイニーカラーズ」はプロデューサーのみなさんにストーリーの部分で期待していただいていると感じています。アニメの方でももちろんそこに期待いただいていると思いますので、ストーリーを丁寧に描くためにも真乃をスカウトするところからの始まりの物語を描いています。ゲームをすでにプレイしている方には改めて体験していただき、初めて「シャイニーカラーズ」に触れる方はそこからスタートしていただく、といったところを意識しています。

――enza対応ゲーム「シャニマス」のゲームをプレイしているときにも、間の使い方などで補完していく流れが印象的でしたが、映像は一連の流れの中で丁寧に積み重ねられているなと思いつつ、だからこそのバランス感覚が難しそうだなと感じました。

池田氏:ゲームではプレイいただく方の想像によって補完していただく部分がありますが、アニメはその部分が映像として出てしまうので、ゲームの良さをどう表現するのかというところを制作チームとして意識しました。

試行錯誤を重ねながら、結果として間を入れたり、その合間に光の影を入れたりといった工夫をしています。あと、アップになった時などの瞳の表現については、一番奥のところから一番手前の光が当たっている白い部分も含めて、瞳を何重にも動かせるようになっています。今までプロデューサーのみなさんが想像していた行間みたいなものを映像にした時に、そこがきれいに映るというところにはこだわっていますし、そこは3DCGのアニメならではの強みだと思います。

――アニメーションの音作りについて、スペースなどでシーンに合わせてBGMを制作していくフィルムスコアリングという手法を採用されたという話をしていたかと思いますが、その狙いをお聞かせください。

池田氏:作り方は、1話ごとに音楽をつけたいシーンをすべて書き出して、そこにすごく細かな指示をつけて作曲家の方に作っていただいています。長い時間をかけてシーンごとに打ち合わせして決めていくので、すごく大変なんです。

それでも今回採用した理由は、アイドルたちの心の機微を丁寧に描く上で映像だけでなく音楽でも表現する必要があるということをまんきゅう監督のほうで考えていただいており、その表現として最適な手法だったからです。

――プロモーションについても多面的に行っていますが、YouTubeやX(旧Twitter)での毎日配信など精力的なアプローチもありました。今後の先行上映に向けては、どのようなことをしていきたいと考えていますか?

池田氏:プロモーションについては一貫していて、プロデューサーのみなさんにどうしたらこのアニメを楽しんでいただけるかということを軸に、宣伝チームと一緒に試行錯誤しながら考えています。

また、アニメを視聴することはゲームをプレイすることと異なる体験であることをすごく感じているので、アニメ展開ならではのアプローチの仕方を考えています。先日実施した劇場公開の初日舞台挨拶やスタッフトークショーのような機会は、アニメを劇場で見るという体験が無いとできないという点ですごく意識しました。

「シャイニーカラーズ」を劇場で観る機会自体が、みなさんにとって初めてで非日常的な体験ではあるので、その体験をより楽しんでいただくために今後もいろいろと考えていきたいと思っています。

――現在公開中の2章、今後公開となる3章についての見どころなどをぜひお聞かせください。

池田氏:すでに1章を観ていただいた方は1話で真乃が283(ツバサ)プロダクションに加入して、その後はイルミネーションスターズ以外のユニットがフィーチャーされていたという流れをご覧いただけたかと思うのですが、2章ではイルミネーションスターズのフィーチャー回を楽しみにしていただきたいです。

そして1章ではユニットの枠を越えたコミュニケーションというのはほぼ描かれていない中で、2章や3章は283プロダクションとしてどういうストーリーを紡いでいくかという点が注目ポイントになっています。

――283プロ全体のミーティングでのわちゃわちゃ感は印象的でした。

池田氏:そういうところも映像になった時の見どころで、会話のシーン一つ取っても、前のめりになって話しているのか?それとも首だけを動かしているのか?など、身体的な表現からも関係性が見えてきます。ユニットでの振る舞いが238プロ全員の前になるとどういう風になるのかなど、みなさんがご自身でプロデュースされているアイドルがどのような話し方、動きをしているのかを見ていただくと、彼女たちの温度感みたいなものが伝わってくると思います。

――2024年春にはテレビアニメとしての放送も控えますが、「シャイニーカラーズ」にこの機会で触れてもらうために取り組んでいきたいことがあればお聞かせください。

池田氏:アニメは視聴することでその世界観に浸れるというものなので、この機会に是非「シャイニーカラーズ」に触れていただきたいと思っています。

それをどういう風にやっていくかはゲーム側とも連動した部分になると思いますが、来年には6周年を迎える作品ともなると、やはり新しく飛び込むのに勇気がいる部分もあると思うんです。なので、アニメには本当に何の気なしに見ていただきたいです。その先にゲーム、グッズ、ライブイベントといったいろいろな「シャイニーカラーズ」の世界があるということをお伝えするとともに、知らない方に向けても楽しんでいただけるプロモーションを考えていければと思います。

――最後に「シャニアニ」を楽しみにされている方々へのメッセージをお願いします。

池田氏:まずは「シャイニーカラーズ」を応援していただき、アイドルをプロデュースしていただき、本当にいつもありがとうございます。2023年11月には「アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism」もリリースされ、アニメとしても劇場先行上映 第3章の公開とテレビ放送に向けて動き出している状況です。みなさんにはさまざまな角度から「シャイニーカラーズ」の世界を楽しんでいただけるよう、「シャイニーカラーズ」に携わるチーム全員で頑張っておりますので、引き続きプロデュースのほどよろしくお願いいたします。

――ありがとうございました。

アニメ「アイドルマスター シャイニーカラーズ」公式サイト
https://shinycolors-anime.idolmaster-official.jp/

アニメ「アイドルマスター シャイニーカラーズ」公式X(旧:Twitter)
https://twitter.com/shinyc_official

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