J1ヴィッセル神戸影のMVP本多勇喜!1-13の大敗、契約満了を乗り越え、リーグ初制覇に導いた万能ディフェンダーを紹介

先月25日のJ1第33節ヴィッセル神戸対名古屋グランパス戦で、神戸が2-1で勝利してJ1初優勝を達成した。今季22得点でリーグ得点王を勝ち取ったFW大迫勇也、10得点10アシストを記録したFW武藤嘉紀らの活躍が目立つが、複数の守備ポジションを難なくこなし、優れた身体能力で最終ラインを支えた男がいる。

―その男の名は本多勇喜。この男の活躍がなければ神戸のリーグ初制覇は成し得なかった。前クラブでは契約満了、記録的大敗なども経験するなど前途多難な道を歩んできた万能型ディフェンダーのキャリアを紹介する。

複数ポジションをこなすグラディエーター

今季から神戸に加入した本多は攻守において存在感を見せつけた。今季は主に左センターバックに入り、DF初瀬亮との緻密なビルドアップ、機を見た左足からのロングフィードで後方からチャンスを演出し、守れば優れた身体能力を生かした跳躍力、鋭いタックル、粘り強いマークなどで強力な外国籍FWとも渡り合った。

負傷者が多く出たチーム状況の中で、センターバックの枚数が少ない場合はセンターバックに入り、サイドバックの枚数が欠ければ左サイドバックに入ってチームの穴を埋めるなど複数ポジションを難なくこなすポリバレントな才能を生かしてチームの窮地(きゅうち)を救ってきた。

今季の活躍により2023年のJリーグ優秀選手賞に選出された。今季は29試合に先発出場した神戸リーグ制覇の立役者だが、加入当初の期待値は高いものではなかった。前所属の京都サンガでは多くの苦労を経験したこともあり、神戸サポーターからも不安視されていた。

伝説の1-13の大敗を経験、京都を契約満了

2016年から名古屋グランパスから京都に加入した本多は、7シーズンに渡ってプレーした。その内6季はJ2でプレーしていたため、苦労を重ねてきた。顕著な例をあげると、2019年シーズンJ2最終節柏レイソル戦だ。試合前チームは7位と柏戦に勝利すれば最終節での上位陣の結果次第でJ1昇格プレーオフの可能性がある状況だった。

先発出場した本多は3バックの一角として先発出場するも、前半14分にアキレス腱断裂の大ケガを負って交代を余儀なくされた。勝たなければいけない京都は前がかりになったが、ケニア代表の怪物FWマイケル・オルンガが8得点を挙げる活躍を見せて1-13とJリーグ最多失点記録となる大敗を喫してしまった。

この敗戦から徐々に出場機会を年々減らした本田は2021年にJ1昇格に貢献するも、翌2022年シーズンは15試合出場内5試合先発と出場機会が激減し、シーズン末には契約満了を言い渡された。決して順風満帆なキャリアを歩んできたわけではなく、苦労を重ねて神戸に行き着いた。ただ戦術理解能力の高さ、優れた身体能力、バランス感覚がチームにフィットする形で神戸の空いたピースをしっかり埋めてみせた。

ゲーマーな一面も

本多には意外な一面がある。世界的な人気FPSゲームの「エーペックスレジェンズ(Apex Legends)」のユーザーであり、上位カテゴリーのランク「マスター」に到達したほどの腕前を持っている。実際にプレーをしているシーンを神戸の公式Youtubeチャンネルで配信されており、本多のプレーを見ることができる。

複数ポジションをこなせて、ゲーマーとしての実力も優れている一面があるなど意外性に溢れている背番号15。そのポリバレントな才能は目を見張るものがある。

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来季はAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)も控えているため、複数ポジションをこなせるため本多の重要度は高まると予想される。次のシーズンでも縁の下の力持ちとして実力を発揮することを期待したい。

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