虐待相談、最多3135件 15年度県まとめ

 県は31日、県所管の児童相談所で2015年度に受け付けた児童虐待の相談件数が、前年度比428件増の3135件だったと発表した。児童虐待防止法の下で統計を取り始めた2000年度以降で最多。12年度以降は4年連続の最多更新となっている。

 横浜、川崎、相模原の3政令市と横須賀市を除く5カ所の児相の件数を県がまとめた。内容別では「心理的虐待」が1672件で全体の53・3%を占めた。次いで「ネグレクト(育児放棄)」が781件(24・9%)、「身体的虐待」が652件(20・8%)、「性的虐待」が30件(1・0%)だった。

 年齢別では、乳幼児が1448件で、46・2%を占めた。小学生が1046件(33・4%)、中学生が438件(14・0%)、中学卒業以上が203件(6・4%)だった。

 経路別では、警察が39・4%を占める1237件。次いで近隣・知人が545件(17・4%)、家族・親戚は491件(15・7%)で、132件増えた。

 件数増加の要因について県子ども家庭課は「県民の虐待に対する認識が高まっている」とする一方、経路の約4割を占める警察の対応も背景にあると分析。子どもの面前で行う配偶者間暴力(DV)や夫婦げんかは心理的虐待にあたるとして「DVなどに対応した際に、児相にも通告することを徹底しているため」とみている。

 児相とは別に、県内市町村(3政令市、横須賀市を除く)の相談窓口が受けた相談件数は、前年度比10件減の2008件だった。◆川崎市、児童虐待相談・通告 最多1920件 川崎市は31日、市内3カ所の児童相談所で2015年度に受理した子どもへの虐待の相談・通告件数が1920件に上り、過去最多を更新したと発表した。市は「(15年2月の)中学1年の男子生徒殺害事件を受け、学校や児相、区役所の連携を強化したことで学齢期の早期発見も増えた」としている。

 市児童家庭支援・虐待対策室によると、虐待種別では「心理的虐待」が1049件(前年度比110件増)でトップ。子どもの目の前で配偶者に暴力を振るう「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」に関して警察からの通告が増えていることも要因という。

 次いで子どもに暴行を加える「身体的虐待」437件、「ネグレクト(育児放棄)」415件と続き、「性的虐待」は19件だった。

 区別では川崎区が478件で最多で、幸区の291件、中原区の280件と続く。相談・通告経路は全体の3分の1を占める警察経由が682件で最も多かった。

 年齢別では小学生が614件で最多。次いで3歳〜就学前が471件、0〜3歳未満が435件、中学生272件、高校生・その他128件だった。小中学生は前年度から60人増えた。

 同室では「中学1年の男子生徒の事件以来、関係機関の連携を充実させている。本年度も学齢期の子どもたちには居場所を充実させ、子どもを見守る取り組みを強化していく」と話している。

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