交通事故の犠牲者をかたどったオブジェを通して、命の大切さを伝える「生命(いのち)のメッセージ展」が、県トラック総合会館(横浜市港北区)で始まった。4日のオープニングセレモニーでは、2012年に京都府亀岡市で起きた、集団登校中の児童に車が突っ込んだ事故で当時7歳の娘を亡くした小谷真樹さん(41)が講演。「生活に笑顔が戻っても、どこかで時が止まっている」と胸の内を明かし、「一瞬で人の笑顔を奪ってしまう。車が持つ危険性を再認識してほしい」と訴えた。
事故は12年4月23日の朝に起きた。集団登校中の児童らの列に無免許の少年が運転する車が突っ込み、当時小学2年生だった小谷真緒さんら3人が死亡、7人が重軽傷を負った。
父親の真樹さんは、朝に交わした言葉が娘との最後の会話になるとはつゆほども思っていなかった。
「はよ行きや」-。そう笑いかけた数時間後、娘は変わり果てた姿でベッドに横たわっていた。
到底現実を受け入れることはできなかったが、「これ以上、傷つけられる真緒を見たくない」と、心肺蘇生の中止を申し出た。
真樹さんはその後、連日のように押し寄せる報道陣や娘の写真が無許可に広がる社会に不信感を募らせたといい、「何もしてない真緒が、なぜ守られないのか」と疑問を投げかける。