万葉人も愛した? かんきつ「大和橘」を収穫 奈良・大和郡山市内で

収穫が始まった大和橘=5日、大和郡山市内

 日本固有種のかんきつ「大和橘(たちばな)」の収穫が奈良県大和郡山市内などで始まった。不作だった昨年に比べると実の付き方はいいといい、12月いっぱい収穫される。

 大和橘の実は直径約3センチ。古事記や日本書紀に不老不死の霊果として登場し、万葉集にも多くの歌が詠まれた。

 大和橘を生かした地域活性化に取り組む「なら橘プロジェクト推進協議会」(大和郡山市)が2012年から栽培に着手。菓子やお茶、コショウなどを開発・販売している。

 実や葉は香りの良さが特徴で、料理にかんきつ類を多用するヨーロッパで高い評価を得ている。ややほろ苦い味はお酒にも合い、県内外のレストランから問い合わせが多く寄せられているという。

 同会が大和郡山市内に植樹した木は黄色の実がたわわ。同会の城健治会長(75)は「豊作ではないが去年より多く実がなってうれしい。奈良の地にふさわしい歴史と物語性がある大和橘を世界に発信したい」と話した。

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