米沢の秘湯・五色温泉、再び まごころ住設(高畠)が日帰り入浴施設に、一帯はオートキャンプ場へ

五色温泉が温泉付きのオートキャンプ場としてよみがえる。手前が旧旅館の蔵を生かした受付施設、奥が10日から営業する入浴施設=米沢市板谷

 米沢市南部に点在する秘湯の一つで、3年前に一軒宿が閉館して以降、活用されていなかった米沢市板谷の五色温泉が10日、日帰り入浴施設の営業を始める。燃料小売業のまごころ住設(高畠町、西方茂太社長)が再生を手がけた。一帯をオートキャンプ場として整備しており、来年5月の本格オープンを予定する。

 五色温泉は福島県境付近の山中に点在する大平、新高湯、滑川、姥湯などの温泉とともに秘湯として知られる。開湯は1300年前とされ、宗川旅館が明治時代に営業を始めた。周辺には、大正時代にかけて民間では国内初のスキー場「五色スキー場」や、皇族専用ロッジ「六華倶楽部」が整備され、にぎわった。施設は約20年前にそれぞれ閉鎖となり、旅館は2020年、後継者不足などのため閉館した。

 同社は21年秋、土地建物を取得。レトロな雰囲気が漂う2階建ての蔵だけを残し、建物を解体した上で、大浴場とサウナを備えた入浴施設とオートキャンプ場の整備を進めてきた。キャンプサイトは約20区画分を備え、このうち9区画が電源付き。蔵は改修し、受け付けや飲食提供スペースとして活用する。敷地面積は約9670平方メートル。事業費は1億5千万円で、国の事業再構築補助金を活用した。

 旅館時代は県外や年配の客が多かったというが、新施設は地元住民や若年層をターゲットに加える。来冬以降、冬場のキャンプや雪遊び体験などを本格化し、訪日客も取り込んでいく。

 JR峠駅付近で滑川温泉福島屋が今夏、無人宿を開業するなど、同市では秘湯の新たな可能性を探る動きが活発になっている。西方社長は「歴史ある秘湯を次世代に残したい。近くの秘湯とも連携し、温泉とキャンプを組み合わせることで新たな価値を生み出していきたい」と話している。

【メモ】 入浴施設の営業時間は来年3月ごろまでの冬季間が午前10時~午後4時。キャンプ場本格オープン後は午後8時までとする。入浴料は平日千円、土日祝日が1200円。サウナと入浴のセット料金は平日2千円、土日祝日2400円。中学生以下は半額、未就学児は無料。問い合わせは五色温泉オートキャンプ場0238(34)2510。

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