異変…ハスの花が全滅、沼を荒らす“外来カメ”大量捕獲 川の取水口付近、特に巨大サイズ わな設置さらに拡大へ カメ以外に考えられる全滅理由は

捕獲用の網を沼に投入する「伊佐沼の蓮を咲かそう会」のメンバー=川越市の伊佐沼

 埼玉県川越市の伊佐沼で今夏、ハスの花が全く咲かなかったことを受け、生育を管理してきた「伊佐沼の蓮を咲かそう会」は同市内で分析検討会を開いた。行政と一体となって、ハスの復活に向けて取り組みを強めていくことを確認した。

 同会は、沼に生息する条件付き特定外来生物のアカミミガメがハスの芽を食べてしまうことに原因があるとして、今年6月末から約3カ月にわたり捕獲に取り組んだ。同会によると、150匹を超えるアカミミガメを捕獲。特に、九十(くじゅう)川の取水口付近で大きなカメが大量に捕れたという。

 今後は、沼の水が抜かれた後に再び水を入れる4月上旬に向け作業再開の準備をし、捕獲わなの設置場所をさらに広げることなどを申し合わせた。また、川越市に対して、伊佐沼へのカメ放出の禁止および特定外来生物の駆除に市民の協力を得るための啓発を要請することとした。

 同沼のハスについては、川越市議会でも取り上げられた。9月定例会で、高橋剛議員の一般質問に対し、市産業観光部長ら幹部が「ハスの再生活動を通じて伊佐沼周辺の田園環境保全のための水質浄化と環境美化の啓発、普及活動に取り組んでいる」と、同会の活動を評価。川合善明市長もハス復活に向けて支援を表明した。同会の原田秀一会長(71)は「われわれには発足以来30年のデータの蓄積がある。その知見を最大限に生かしてハスを必ず咲かせたい。そのためには行政と市民の協力が必要。オール川越で取り組んでいきたい」と意気込みを語った。

 なお、同市議会で市環境部長は、県環境科学国際センターの見解として、気温や水温の変化、さらにはヘドロの堆積など沼底の環境変化も原因となり、一概にアカミミガメによるものと断定はできないとの回答があったと説明した。

伊佐沼のハス復活へ分析検討会を開いた「蓮を咲かそう会」のメンバー=川越市内

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