姫路の小学校、いじめ把握後に組織的対応怠る 被害男児は不登校になり入院、転居 「重大事態」調査報告書で判明

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 兵庫県姫路市内の小学校で昨年12月、いじめ被害を受けた男児が不登校となり、いじめ防止対策推進法に基づく重大事態に認定された問題で、学校側が昨年4月にいじめを把握していたにもかかわらず、男児の見守りを強化するなどの組織的な対応を怠っていたことが5日、神戸新聞社が入手した調査報告書で分かった。

 代理人弁護士によると、被害児童は当時、特別支援学級に在籍する6年生で、多くの授業を通常学級で受けていた。昨年11月から学校に通えなくなり、心身の不調で一時入院。その後転居し、今春には中学校に進学したものの心身の回復には至っていないという。

 調査報告書によると、昨年4月に男児が普通学級の児童から悪口を言われたことが発覚し、学校側はいじめと認定した。その後、「いじめは解消された」としていたが、同10月に男児の保護者から再びいじめを受けているとの訴えがあり、学校側がチームを設けて聞き取り調査を実施。約20人の児童が男児を避けたり、「ばい菌」扱いしたりなどのいじめに加担していたことが判明したという。

 調査報告書は「学校全体での情報共有や男児に対する組織的な支援ができなかった」と指摘。「児童への特別支援学級の児童に対する理解の促進や、支え合いながら学校生活を送ろうという意識の醸成も不十分」などと結論付けている。

 この問題を巡っては、被害児童の保護者が再調査を要望しており、市が実施に向けた条例改正案を市議会定例会に提出している。 (井上 駿)

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