置き配のペットボトルが火災を招く!乾燥する季節の「意外な火の元」10

反射区の場所と押し方を覚えれば、スキマ時間にいつでもどこでもできる(写真:PIXTA)

寒くなり空気が乾燥してきて、日本各地で火災が頻繁に起きている。なかには置き配用のペットボトルが原因で火事が起きた例も。家庭内の「えっ?」と思う意外な出火原因に注意!

「毎年、冷え込みが強くなり、空気が乾燥する冬のシーズンになると、火災発生件数が急増します。

とくにこれからの時季は、家の中や家の周辺にある“火の元”を再チェックすることが、火災を未然に防ぐ対策につながります」

こう語るのは、福島県内の消防署の元署長で、火災予防アドバイザーの芳賀利幸さん。

冬本番を迎え、連日のように火災のニュースが報道されている。

消防庁の火災統計データによると、22年の建物火災(2万185件)の出火原因で、最も多かったのは、「コンロ」(2千716件)。次に「たばこ」(1千843件)。「電気機器(1千498件)、「配線器具」(1千290件)、「ストーブ」(1千87件)といった順番であった。

冬の時季は、これら以外にも、“意外な火の元”が出火原因になることもあるという。

「たとえば、鏡や水が入ったペットボトル、花瓶などが、凸レンズのような作用で太陽光を一点に集め、布や紙などを熱することで発火する“収れん火災”があります。

冬は夏よりも太陽の高度が低いので、室内の奥まで光が差し込みます。太陽光が長時間差し込む部屋の窓近くには、花瓶や鏡、水が入ったペットボトルは置かないこと。そして外出時は必ずカーテンを閉め、室内に日光が入らないようにすることが対策になります」(芳賀さん、以下同)

“収れん火災”は室内だけでなく、屋外でも発生する。

11月14日、長野県の住宅玄関前で、置き配用の発泡スチロールの重しとして置いた、2リットルの水入りペットボトルが原因で、発火したというニュースが話題になった。

また、冬限定ではないが、“意外な火の元”としてあまり知られていないのが衣類乾燥機だという。

「洗濯しても落ちにくい油分(アロマオイルなど)が染み込んだ衣類を乾燥させた後、高温の状態のまま機内に放置すると自然発火することがあるので、要注意です」

そこで芳賀さんに、これからの季節を中心に、とくにチェックすべき家庭の火の元ポイントを10個挙げてもらった。

暖房器具等を使う機会も増えるこの季節、ふだん見過ごしている火の元を再チェックしながら、火災予防の意識を高めよう!

【1】テレビ台裏のコンセント

テレビ台などの裏側にあるコンセントまわりにほこりがたまっていると、湿気によって電気が走り、ほこりに熱がたまって発火する可能性がある(トラッキング現象)。乾燥した室内は火の回りも早いので、コンセント周辺の掃除、ほこりの除去はこまめにやること。

【2】こたつで洗濯物を乾かす

こたつの中にたくさんの洗濯物を束ねた状態で乾かすのは非常に危険。とくに可燃性の衣類は発火しやすいので、絶対にこたつの中に入れないこと。こたつの中に衣類を入れ、酔った状態で寝てしまい、引火した衣類から出た煙を吸い込み死亡したというケースもある。

【3】たこ足配線

電源タップにたくさんの電源コードを接続するのは要注意。電源タップの容量を超えると過熱して出火する危険性がある。電気ストーブなどワット数(消費電力量)が大きいものは、容量オーバーになる可能性が高いため、壁にあるコンセントから直接つなぐこと。

【4】過熱防止センサー機能がないコンロ

天ぷら火災の原因の6割以上は、最初に火をつけてから、油の温度が上がるまでほかのことをしているうちに、油が超高温となって火が上がったケースだ。過熱防止センサー機能が付いていないコンロを使用している場合は、調理中は絶対に目を離さないこと。

【5】長年使用の分電盤

ブレーカーなどが収納されている分電盤。長年の使用によりネジがゆるみ、電気抵抗が増大したことなどが原因で出火することも。ビニールの焦げた臭いがする、部屋中の電気器具の電源がよく切れるなどの現象があれば、電力会社などにチェックしてもらおう。

【6】家具でコードを踏む

電化製品や電源タップのコードを目立たないように、重い家具の裏側に回しているケースがある。掃除などで家具を動かした際、コードを踏んだ状態になると配線がショートし、畳などに引火することも。コードが下敷きになっていないか要チェック!

【7】安全装置のない電気ストーブ

転倒時消火装置などの安全装置が付いていないと、たとえば地震によって転倒し、停電になると一時的に消えるが、電力が復旧すれば再びONの状態に。もし布団の上などに倒れていたら、そこから発火して火災になるケースも。安全装置付きに買い換えを。

【8】油の付いた服の乾燥

油分が染み込んだ衣類などを高温の状態で放置すると自然発火することがある。アロマオイルや食用油、機械油、美容オイルなどは洗濯しても完全に落ちにくい。洗濯後に油が残った状態で乾燥させ、そのまま高温の状態の機内に放置すると発火する危険がある。

【9】置き配用の水入りペットボトル
【10】野鳥対策のCDや鏡

置き配用の箱の上に置いた、重しの水入りペットボトルなどが、凸レンズのような作用で日光を一点に集め発火する「収れん火災」。野鳥対策として、テラスなどに鏡やCDを数カ所つり下げている場合も、反射した太陽光が一点に集中すると発火するので要注意!

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