釣り券、25年ぶり値上げ 茨城県内漁協、物価高で 1月から、上げ幅は100~2000円

川釣りに必要な遊漁承認証(釣り券)の料金が茨城県内で25年ぶりに値上げされることが5日、分かった。河川の漁業権を持つ各漁協では、釣り客や組合員の減少による資金難に加え、物価高騰で稚魚放流などの経費負担が増している。年間券を含めると、上げ幅は魚種などによって100~2千円。新料金は2024年1月1日から運用される。

釣り券は、霞ケ浦や北浦を除くほとんどの河川や湖沼で釣りをする際に必要となる。漁協が発行し、漁協や釣具店、コンビニなどで販売する。当日券と年間券があり、料金は魚種や河川などで異なる。

県漁政課によると、県内の釣り券の値上げは1999年1月以来、25年ぶりとなる。消費税増税の際も据え置かれてきた。

値上げ幅は100~2千円で、魚種などによって異なる。当日券の一般料金では、アユ、ヤマメ、イワナは大北川、久慈川、那珂川、那珂川第一の4漁協で2千円(500円増)とする。サクラマスは久慈川、那珂川、那珂川第一の3漁協で2千円(同)。コイやフナなど「その他の魚種」は14漁協で600円(200円増)となる。

内水面の漁協は、漁業権に応じて魚の増殖が義務付けられている。釣り券による遊漁料と、組合員が納める賦課金を原資に、稚魚の放流や漁場の管理などに取り組む。

各漁協は「稚魚放流などで赤字になっている」として、料金改定に向けた遊漁規則の認可を知事に申請。諮問機関である県内水面漁場管理委員会が5日の会合で「原案の通りで差し支えない」との答申を決めた。委員会は学識経験者や漁業者、釣り団体など採捕者の代表で構成する。

委員会長の高杉則行・久慈川漁協組合長(76)は取材に対し、「東京電力福島第1原発事故以降、釣り客が減り続けている」と指摘。高齢化に伴い組合員が減少している上、物価高騰で稚魚の輸送費や餌代、電気代などの経費がかさみ、「どの漁協も財政的に困っている」と話した。

新料金については、県が遊漁規則などを認可後、12月下旬以降、公示される見通し。

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