みそ 原料米がひっ迫&高騰 もう一段の適正化が必要に

米みその主原料である米麹作りに欠かせない原料米がひっ迫し高騰している。MA米の高騰に加えて、特定米穀の需要が増加し、価格が上昇している。みそ業界はここ数年、大豆や燃料の高騰により製品の価格改定を余儀なくされてきたが、原料米のひっ迫と価格上昇によりもう一段の価格適正化が必要になってきた。

MA米の23年10~12月長期販売の価格は、米国米が前回から1千900円値上がりし1t15万8千600円、タイ米が前回から300円値上がりし10万300円となった。

米国米は、MA米の22年契約分輸入量が例年の3分の2となった。当面の現地在庫およびMA米として日本国内に今年来るものは前年産であることから、米国米のひっ迫、供給量、MA米価格への影響は引き続き厳しい状況が予想される。タイ米の相場は8月以降落ち着いている。

一方、国産米はコロナ禍の中で、業務用米需要の低下が長期化し、特定米穀価格は比較的低い水準で推移してきたが、MA米の高騰が続く状況に加えて、直近では業務用米需要が回復傾向にある。

このため特定米穀の需要増に拍車がかかり、全国味噌工業協同組合連合会会員の原料米に占める特定米穀の使用比率は今年1~8月の累計で52%まで上昇している。

22年産の供給量については、全体として前年並みと報道されている。ただ、品質的にはシラタが多く、需要増と各種コストの増加もあり前年比で価格上昇の傾向が見られる。特に中米クラスでは不足感が強く、調達が難しい。

23年産の供給は全体として2割近く前年を割る試算も出ている。また、高温障害・水不足による影響か、品質も例年より良くない。価格は無選別で前年比20~30円/㎏の値上がりで始まり、さらに上がっている。

昨今、みそ市場では高麹歩合の甘口みそが売れており、広域で商品を展開する大手メーカーも高麹歩合の甘口みそを主力品としている。当然、大手メーカーは米麹の使用量も多い。今後も安定供給を継続するため、もう一段の価格適正化が必要となってきた。

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