くらしき防災フェア(令和5年11月23日開催)〜 楽しみながら防災について学べる屋外イベント

平成30年7月豪雨から5年が経過し、防災についての意識が薄れつつある人もいるかもしれません。

しかし、日本が地質的、気候的に災害の多い国であることに変わりはなく、全国に目を向けると地震や水害のニュースは枚挙にいとまがありません。

令和5年11月23日、倉敷市は楽しみながら防災について学べる屋外イベント「くらしき防災フェア」を水島中央公園で開催しました。

「くらしき防災フェア」で学んだ行政や民間企業が取り組む防災事業について紹介します。

くらしき防災フェアとは?

楽しみながら防災について学べる屋外イベントとは、どのようなものなのでしょうか?

「くらしき防災フェア」の概要を紹介します。

くらしき防災フェアの概要

令和5年年11月23日に、水島中央公園で「くらしき防災フェア」が開催されました。

消防署や自衛隊などの防災にかかわる組織だけでなく、民間企業も出店する防災についてのイベント。

49店のブースが水島中央公園全体に建ち並び、組織の活動や事業内容に基づいた防災への取り組みを紹介しました。

消防車を使った放水を体験できるイベントなどもあり、どのブースでも楽しみながら防災について学べるように工夫が施されていました。

会場は多くの家族連れで賑わっていて、約15,000人が会場を訪れています。

くらしき防災フェアの目的

平成30年7月豪雨から5年が経過したことで、防災についての意識が薄れつつあります。

そのため、災害から市民を守るために、倉敷市は防災の意識を高めるイベントを続けてきました。

これまで防災についての啓発活動として講演会や防災訓練などがありましたが、より多くの人たちに防災について知ってもらいたいと考えていました。

そこで、多様な人たちが防災へ意識を向けられるように、楽しみながら防災について学ぶことを目的に企画されたイベントが「くらしき防災フェア」です。

令和5年度くらしき防災フェアの特徴

くらしき防災フェアは、令和4年11月に倉敷みらい公園で初めて開催されました。

2回目となる令和5年度は、倉敷市全体で防災意識を向上させることを目的に、会場を水島中央公園に移しています。

市全体に情報を発信するための一歩として、水島地区が開催地に選ばれました。

令和5年度くらしき防災フェアのもう1つの特徴は、飲食店が出店していることです。

平成30年7月豪雨では、キッチンカーを始めとする飲食店がボランティアとして避難所に駆けつけ、料理を振る舞いました。

また令和4年に、倉敷市は一般社団法人日本キッチンカー協会と協定を結び、災害時にキッチンカーが避難所へ乗り入れられる体制を整えています。

「くらしき防災フェア」は、被災時での食事を体験してもらうことを目的に、飲食店へも参加を呼びかけました。

くらしき防災フェアの体験レポート

「くらしき防災フェア」の会場に足を運び、防災について学んできました。

会場のようすに加えて、いくつかの展示やブースを紹介します。

水島ならではの消防車

水島中央公園の南口から会場に入ると、大きな消防車が出迎えてくれます。

もっとも手前に展示されていたのは、大型化学車という種類の車両。

石油コンビナートで発生する火災時に出動する消防車で、膨大な量の危険物が貯蔵されている工場での火災に特化した特別な設備を搭載しています。

他にも、大型高所放水車、泡原液搬送車が展示されており、水島で開催される防災イベントならではの消防車が集まっていました。

消防車の放水体験

消防車から伸びるホースを抱え、標的に向かって水を噴射する放水体験がおこなわれていました。

激しい水流を放つノズルは、子どもたちにとっては巨大な水鉄砲。子ども心をくすぐるのかもしれません。

たくさんの家族連れが放水体験に列を作っていました。

被災地で活躍する巨大なトラック

陸上自衛隊は、物資の輸送などに利用される巨大車両を展示していました。

高い積載能力を有する「3 1/2tトラック」は、災害時には被災地へ支援物資を届けるときに活躍します。

子どもの背丈ほどもあるタイヤは圧巻です。

運転台からの景色を楽しんでいる子どもたちであふれていました。

宇宙開発と防災の関係について学ぶ

電気通信事業のKDDI株式会社は、アメリカ合衆国の企業スペースXが手がける衛星ブロードバンドインターネットサービスStarlink(スターリンク)を紹介していました。

災害時には地上基地局などの通信インフラが損壊してしまうこともあり、地上設備を経由して情報を届けられなくなることもあります。

宇宙を経由した通信の特徴は、地上の被害状況に関係なく被災地との連絡ができること。

衛星と通信するためのアンテナと電源があれば、インターネットに接続できます。

生活とは関係ないと思っていた宇宙開発が、実は災害時に私たちの命を守る通信インフラとして活用できるのです。

たばこ製造メーカーが手がける防災活動

日本たばこ産業株式会社(JT)では、倉敷市全体の地形を段ボールで再現したジオラマを展示。水害、土砂災害、地震、津波をテーマに、ジオラマを活用しながら地形に応じた災害のリスクを解説していました。

目に見えて地形がわかるので、浸水、液状化、土砂災害、津波の危険性を直観的に理解できます。

JTでは、災害、環境、格差に関する社会課題を、地域と一緒に解決していく「Rethink PROJECT」を全国各地で展開。

防災分野においては、段ボールジオラマを活用した防災授業を開催して、自助(自分の命は自分で守ること)の意識を身に付けるための啓発活動を続けています。

楽しみながら防災について学べる「イザ!カエルキャラバン!」

「イザ!カエルキャラバン!」は、子どもたちが楽しみながら防災についての知識を学べる活動。

キャタピラのような輪っかのなかに入り、転がすように前進しながらタイムを競うキャタピラ煙避難タイムトライアルは、火災時に発生する煙のなかで避難する姿勢を身に付けるための競技です。

他にも、毛布で簡易的な担架を作るイベントや防災に関する知識を学べるカードゲームを開催していました。

阪神淡路大震災の被災から10年が経過した平成17年(2005年)、被災で得られた教訓を風化させないために「イザ!カエルキャラバン!」はスタートしました。

神戸で初めて開催して以来、楽しみながら防災体験できるプログラムは全国に拡がっています。

劇場型の防災学習

倉敷市立短大 子どもの劇場は、人形劇「あめふりいけのあめあがり」を上演。大学生たちが子どもたちに向けて、人形劇を通じて防災の大切さを伝えています。

他にも、ドローンによる災害救助活動や消防救助隊による救出の実演など、日常ではかかわることの少ない防災についての活動を間近で目にできました。

くらしき防災フェアに足を運んで

「くらしき防災フェア」を訪れるまで、防災についての屋外イベントのようすがまったく想像できていませんでした。

実際に足を運んでみると、さまざまな団体や企業が、多様な切り口で防災について取り組んでいました

単に防災と言っても、災害時に私たちの命を守る仕組みがたくさんあります。

社会全体でどのように私たちの命が守られているのかを学ぶ機会になりました。

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