「PlayStation Partner Awards 2023 Japan Asia」レポート:「バイオRE4」「FF16」「AC6」などの開発スタッフがメディアインタビューに回答

今回で「PlayStation Awards」として始まってから通算29回目の開催となる「PlayStation Partner Awards」。新たな動きとしては、“SPECIAL AWARD (スペシャルアワード)”において、「さまざまな障がいに配慮したアクセシビリティに優れた作品」に贈られる枠が設けられた点が挙げられる。これには「ストリートファイター6」が選ばれた。

12月6日に発売されるPS5用アクセシビリティコントローラーキット“Access コントローラー”などの取り組みとあわせ、アクセシビリティは今後のPlayStation、ひいてはゲーム業界全体にとって、いっそう重要なテーマとなっていきそうだ。

イベントでは表彰式に先駆けて、“GRAND AWARD (グランドアワード)”、“PARTNER AWARD(パートナーアワード)”、“SPECIAL AWARD(スペシャルアワード)”受賞タイトルの関係者が質問に回答する、メディア向け取材の場が設けられた。記事後半では、こちらでの関係者による回答をお届けする。

なお、“PARTNER AWARD(パートナーアワード)”受賞の「ソニックフロンティア」、“SPECIAL AWARD(スペシャルアワード)”受賞の「ホグワーツ・レガシー」は対面の取材はなく、テキストによる質問に対し後日回答が行われたため、この2タイトルに関する回答は最後に掲載する。

■「原神」「バイオRE4」「FF16」ほか、日本・アジアでたくさんの人々に楽しまれたゲームを表彰

まず、表彰されたのは“USERS' CHOICE AWARD (ユーザーズチョイスアワード)”。これは日本およびアジア地域で2022年10月1日から2023年9月30日の間に発売され、同期間の総ゲームプレイ時間が多かった上位30タイトルのうち、日本およびアジア地域のユーザー投票によって選ばれた上位5作品に贈られるアワードだ。受賞タイトルは以下のとおり。

・「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」
・「バイオハザード RE:4」
・「ファイナルファンタジーXVI」
・「ペルソナ5 ザ・ロイヤル」
・「ホグワーツ・レガシー」

USERS' CHOICE AWARD 登壇者

続いては“SPECIAL AWARD(スペシャルアワード)”を受賞した3タイトル。このアワードはタイトルごとに受賞理由が異なっているのが特徴だ。

「日本・アジア以外の地域で開発されたソフトウェアメーカー各社のタイトルにおいて、2022年10月から2023年9月の日本・アジア地域におけるPS5での売上最上位作品」には「ホグワーツ・レガシー」、「同期間に日本・アジア地域で開発されたソフトウェアメーカー各社のタイトルにおいて、さまざまな障がいに配慮したアクセシビリティに優れた作品」には「ストリートファイター6」、「PS VR2の全世界売上上位にランクインした作品」には「バイオハザード ヴィレッジ VRモード」が選ばれた。

・「ホグワーツ・レガシー」
・「ストリートファイター6」
・「バイオハザード ヴィレッジ VRモード」

SPECIAL AWARD 登壇者

“PARTNER AWARD(パートナーアワード)”は、日本・アジア地域で開発されたソフトウェアメーカー各社のタイトルにおいて、2022年10月から2023年9月の全世界売上上位にランクインし、とくに注目すべき活動成果を残した7作品に贈られた。「ELDEN RING」は昨年の“GRAND AWARD (グランドアワード)”に続く受賞だ。

・「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」
・「eFootball 2023」
・「Wo Long:Fallen Dynasty」
・「ELDEN RING」
・「クライシス コア -ファイナルファンタジーVII- リユニオン」
・「ストリートファイター6」
・「ソニックフロンティア」

PARTNER AWARD 登壇者

最後に“GRAND AWARD (グランドアワード)”は、日本・アジア地域で開発されたソフトウェアメーカー各社のタイトルにおいて、2022年10月から2023年9月の全世界売上上位3作品に贈られるアワード。「バイオハザードRE:4」と「ファイナルファンタジーXVI」、そして「原神」は、3年連続の“GRAND AWARD (グランドアワード)”受賞という快挙を成し遂げた。

・「原神」
・「バイオハザード RE:4」
・「ファイナルファンタジーXVI」

GRAND AWARD 登壇者

■受賞タイトルインタビュー:「スト6」ではにじさんじ、CRカップなどのゲーム大会への言及も

ここからは、メディア向け取材の場での関係者たちの回答を中心にお伝えする。なお、“GRAND AWARD”を受賞した「原神」のHoYoverseは、昨年に引き続き取材を辞退している。

最初に登壇したのは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント取締役およびジャパン・アジアパートナーシップディベロップメント&リレーションズ部門長の浦田喜一郎氏。

浦田氏は今年アクセシビリティに優れたタイトルを表彰することに触れ、アクセシビリティは「ゲーム業界において非常に重要かつ必要不可欠」であるとし、「業界全体のアクセシビリティの取り組みが、本日の表彰によりいっそう加速されるものと考えている」と見解を示した。また、“Access コントローラー”の発売にも触れ「すばらしいゲームをより多くの方に自由に楽しんでいただけるよう支援し、ゲームのアクセシビリティをさらに推進していく」ということだった。

ソニー・インタラクティブエンタテインメント 浦田喜一郎氏

“GRAND AWARD (グランドアワード)”を受賞した「バイオハザード RE:4」を手掛けたカプコンのプロデューサー・平林良章氏とディレクター・安保康弘氏は、「RE」の名を冠するリメイクシリーズの今後について聞かれると、「大変ご好評いただいている手応えを感じており、我々としても続けたいと思っています。どういったものになるかは今後お伝えできればと思っているので、ご期待ください」と回答。

また、「RE:2」「RE:3」「RE:4」とシリーズを通して非常に高いクオリティを実現できている理由を問われた際は「完全新作と比べてオリジナルタイトルをお客さんがどのように受け取ったか分かる点で有利な面がある」と、“ユーザー目線でのものづくり”があるとした。また、「スタッフがものすごくみんな頑張っている(笑)」のを前提としつつ、「RE ENGINEによるチーム間の情報共有と積み重ねは助けになっている」とのことだった。

カプコン 平林良章氏(左)、安保康弘氏(右)

同じく“GRAND AWARD (グランドアワード)”を受賞した「ファイナルファンタジーXVI」を手掛けたスクウェア・エニックスのメインディレクター・髙井浩氏、クリエイティブディレクター&原作・脚本の前廣和豊氏は、世界で注目されるタイトルに携わる上での発売前後でのプレッシャーについて問われ「開発中はそこまでプレッシャーは感じていなかったが、マスターアップが近づき、取材などで発売の実感が沸くようになってから心臓がバクバクしてきた」とのこと。また「発売後は賛否両論ありながら世界中で楽しんでもらえて、良かったという声も大きかった」ところでようやくひと安心できたということだった。

本作の特徴的なシステムである“アクティブタイプロア”を実装する上での“大変だった点”と“やってよかった点”を問う質問には「メインストーリーだけでシナリオの区切りが2000くらいあり、そのときどきで提供すべき情報を、読みやすい文章量ですべて手作業により作成」するという“ローテクの塊”のような作業はやはり非常に大変だった模様。「もう二度とやりたくない」という本音も聞くことができた。ただ、プレイヤーから「物語の理解が深まった」という意見が多く寄せられたことで、それでもやって良かったとは思えたという回答だった。

スクウェア・エニックス 髙井浩氏(左)、前廣和豊氏(右)

ここからは“PARTNER AWARD(パートナーアワード)”を受賞したタイトルについて。

「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」を手掛けたフロム・ソフトウェアの執行役員/プロデューサー・小倉康敬氏とディレクター・山村優氏は、アップデートによる調整を続けている本作の最終的に理想とするプレイフィールについて聞かれると「なるべくすべてのパーツに光が当たる」調整を目指しているとのこと。「ユーザーひとりひとりの方向性が異なる、多様性や個性を感じられる状況」が理想であると考えを示した。

フロム・ソフトウェアの代表取締役であり、イニシャルディレクターとして本作の世界観やストーリーの原案にあたる部分を手掛けた宮崎英高氏から掛けられた「印象的な言葉」を問う質問には「魅力的なものにしてくれて嬉しかった」と労いの言葉を掛けられたとのこと。また、開発中は「困ったら最初に目指していたものに立ち戻るんだよ」といったアドバイスの言葉もあったということだった。

フロム・ソフトウェア 小倉康敬氏(左)、山村優氏(右)

「eFootball 2023」を手掛けたコナミデジタルエンタテインメントのシニアディレクター・中西宏氏、シニアディレクター・木村征太郎氏は、基本プレイ無料の運営タイトルとしてのパッケージタイトルと異なる難しさや、高収益が続いている要因について聞かれると「1シーズンに3~4回の大きなアップデートを行う」という早いスパンでの開発には苦労している模様。あわせて「お客様の声にはそれまで以上に耳を傾けるようになった」と、ユーザーの要望にフットワーク軽く反映できる点は好調の要因になっていると考えているようだ。

本作が2024年2月にカタールで開催される「AFC eアジアカップ 2023」の競技タイトルに選ばれたことに関して、大会への期待を問う質問には「アジア全域のサッカーファンに熱くなってもらえたら嬉しいです」とのことだった。

コナミデジタルエンタテインメント 中西宏氏(左)、木村征太郎氏(右)

「Wo Long:Fallen Dynasty」を手掛けたコーエーテクモゲームスのプロデューサー兼ディレクター・平山正和氏は、「三国志」の本作とは異なる時代を舞台とした今後のシリーズの展望について聞かれ「現段階で確かな情報を伝えることはできない」としながらも、「孔明や曹操が活躍する知略めぐる争いの時代も魅力あるものなので、チャンスがあれば作ってみたい」とのこと。

また、「無双」シリーズや「仁王」シリーズとの反響があった国や地域の差について問う質問には「三国志の時代なので三國無双と同様、中国を中心としたアジア圏でいちばん反響が大きい」としつつ、「北米・欧州でも人気があり、こちらは三国志のIPという点よりもアクションゲームとしての興味でプレイしていただけた」傾向が強いということだった。

コーエーテクモゲームス 平山正和氏

「ELDEN RING」を手掛けたフロム・ソフトウェアのプロデューサー・北尾泰大氏は、今年8月に報じられた渋谷から新宿への本社移転の目的と、この移転は「ELDEN RING」の大ヒットが関係しているか? という質問に「ELDEN RINGの発売以前から社員の人数に対してオフィスが手狭になっていた」ということ、また「よりゲーム開発に集中できる環境づくり」が目的であったことなどを回答。

発表済みのDLC「Shadow of the Erdtree」の進捗についての質問には「DLCについてお伝えできるのはもう少し先になるます」としながらも、「開発は順調で、みんなモチベーション高く取り組んでいます」とのこと。「DARK SOULS」や「Bloodborne」のDLCと同様、新たな舞台、新たな敵が登場するので、「ご期待ください」とのことだった。

フロム・ソフトウェア 北尾泰大氏

「クライシス コア -ファイナルファンタジーVII- リユニオン」を手掛けたスクウェア・エニックスのプロデューサー・佐藤万里子氏は、日本に比べ携帯ゲーム機が普及していなかった海外のユーザーからの「クライシス コア」をベースにした本作への反響について、「PSPのオリジナル版は気になっていたけれどプレイしていなかったという方から、ストーリーは知ってたけれど、体験できて本当に良かった」といった声がたくさん寄せられたとのこと。

2024年に発売される「ファイナルファンタジーVII リバース」(以下「FF7 リバース」)の前に本作をプレイする上での注目してほしいポイントを問われると、「本作はFF7の過去のおはなしで、ザックスやクラウドの過去が明らかになる」こと自体が「FF7 リバース」への理解に繋がるとしつつ、オリジナルの「FF7」と「FF7 リバース」含むリメイクシリーズの食い違っている部分の謎などに注目してほしいということだった。

スクウェア・エニックス 佐藤万里子氏

“PARTNER AWARD(パートナーアワード)”と“SPECIAL AWARD(スペシャルアワード)”のW受賞となった「ストリートファイター6」(以下「スト6」)では、カプコンのプロデューサー・松本脩平氏が登壇。

本作がモダンタイプの導入やアクセシビリティの取り組みにより、格闘ゲームの裾野を広げているという評価に対する開発側の感触について聞かれると、アクセシビリティへのチャレンジは「ストリートファイターV」(以下「ストV」)から挑戦していたことで、「スト6」の根底にあったマインドだったと回答。

「スト6」は全人類に遊んでもらうことが目標であり、クラシック、モダン、さらにダイナミックという3つの操作方法を選べるのも世代を超えていっしょに楽しめることを目指してのもの。「老人ホームで大会をする」といった試みも視野に入れているという。

「格闘ゲーマーだけでなく、初心者のストリーマーも数多く配信を行い、イベントも盛況となっている現状は想定どおりか?」という質問への回答では、「ストV」でもイベントを開催していた“にじさんじ”によるゲーム大会は「絶対に逃したくない」と開発陣は思っていたことが明かされた。そこには、「ストV」は操作などの難度が高かったが、「スト6」ならば大会を観てプレイしたくなった視聴者の多くが楽しめるだろうという想いもあったのだそう。

また、普段FPSなどの大会が多いCRカップ(Crazy Raccoon Cup)も「スト6」で開催してほしいと考えていたが、実際に開催されるとインパクトが大きく、こちらも視聴者からの「プレイしてみたくなる」という反響が多く見られたという。また、これらの大会の効果もあってか「スト6」は新キャラクターが多いが、その名前を知ってくれている人が非常に増えたのも嬉しいということだった。

カプコン 松本脩平氏

「PS VR2の全世界売上上位にランクインした作品」として“SPECIAL AWARD(スペシャルアワード)”を受賞した「バイオハザード ヴィレッジ VRモード」では、カプコンのプロデューサー・神田剛氏が登壇。

前作「バイオハザード7 レジデント イービル」のVR版がPS VRだったのに対し、PS VR2での開発となったことによるエピソードを問われると、「Senseコントローラーへの対応には苦労もしたが、開発過程でゲームプレイにバッチリハマった」のが好感触だったとした上で、「とくに銃によるアクションで、弾を込め、コッキングして撃つ」といったかっこいいアクションを実際に体験してもらえるゲームになったことが良かったということだった。

また、大きな反響を呼んだキャラクター・ドミトレスク婦人を今後も活用したいという考えはあるか? との質問には「要望があれば可能な限り活用したい」としながらも、本作のさらなる追加DLCなどの予定はないため、「まだ体験していない方は、ぜひVRで間近に迫るドミトレスク婦人を体験していただきたいです」ということだった。

カプコン 神田剛氏

■「ソニックフロンティア」、「ホグワーツ・レガシー」のクリエイターによる質問回答

ここからは、“PARTNER AWARD(パートナーアワード)”受賞の「ソニックフロンティア」、“SPECIAL AWARD(スペシャルアワード)”受賞の「ホグワーツ・レガシー」の関係者から後日寄せられた回答を掲載する。

「ソニックフロンティア」セガ・ディレクター 岸本守央氏

セガ 岸本守央氏

――5年ぶりの完全新作として、ファンから広く受け入れられたことをどう感じていますか?

岸本:「ソニックフロンティア」は、ソニックゲームに潜在するポテンシャルをどこまで引き出すことができるか?ということに挑戦するために制作したタイトルです。それが皆さんに受け入れられたことは、とても嬉しく思っています。

――広大な世界をソニックで走り回るという初の試みを行なった作品となりましたが、反響はどうでしたか?

岸本:制作中もソニックの移動する速さでは広大なフィールドは狭く感じてしまうんじゃないかと心配の声がありました。広大なフィールド、そこにいるような臨場感やリアリティを、シナリオによって先が気になるゲームデザインでは無く、広大なフィールドの気になるところにいくことが楽しい、と思ってほしかったのです。

楽しいことが終わったらまた気になるところが出てくる、という循環によるあくまでソニックゲームとして広大なフィールドを消化することで「オープンゾーン」が生まれました。「オープンゾーン」は生まれたばかりなので、様々なご指摘をいただきながらも、ソニックゲームの未来に向けて高いポテンシャルを持っているとご期待いただいています。

――約1年にわたり、無料でのアップデートを行われていました。この意図、反響についてお聞かせください。

岸本:無料アップデート施策は比較的早い段階で決定しましたが、本編でやれるだけのことはやった、と考えていたので、あくまでファンサービスとして取り組むつもりでした。ところが発売後に沢山のユーザー様からのご感想やご意見など、とても熱のこもったメッセージをいただき、無料アップデートによって製品版を超えることを目標にふたたび情熱を注いで制作することができました。これが無料だなんて有料の価値がある、と勿体無いお言葉をいただいています。

――新要素の追加とシステムの改善、ともに精力的に行われたタイトルだった印象です。後者についてはどのような基準で修正すべき点を定めていったのでしょう?

岸本:ソニックゲームが、世界のトップゲームを目指すために必要な要素をまず決めて、それが形になったらユーザープレイテストを通して課題を洗い出すことをこれまでのタイトル以上に徹底的におこないました。絶対的な基準としたのはユーザーさんが楽しんでいるか?否か?です。

――本作を作る上で、“ソニックらしさ”としてこだわった点はありますか。

岸本:プラットフォームアクションとして世界的に大ヒットしている様々なタイトルは、時代を超える普遍的な王道スタイルを極限まで磨き上げた素晴らしいモノです。それに対して「ソニックゲーム」だけが持つ「ソニックらしさ」とは、その王道スタイルに対するカウンタータイトルだと考えています。

時代に寄り添いながら王道では出来ないことにプラットフォームアクションでありながらチャレンジすることが出来るのが「ソニックらしさ」であり、最大の魅力であると考えています。それをどうやってソニックゲーム未経験の方や離脱した方に響くものにするかにいちばんこだわりました。

――本作が初めての3Dソニックのプレイだったプレイヤーも多かったかと思います。“初めての人でも楽しいソニックのポイント”を挙げるとしたらどのような点でしょう。

岸本:おそらくほとんどの方が3Dソニックが初めてでも、他の3Dゲームで遊んだ経験はあると思います。もし「ソニックフロンティア」を気にかけて頂けたなら、「ソニックフロンティア」はあなたがいままでプレイしなかった3Dソニックに持つイメージとは全然違う体験、そして広大なフィールドを持つゲームとしても唯一無二の体験をご用意しています。初めての方ほど「ソニックゲーム」だけが持つ魅力に気付くように準備してあります。

また、もし初めて遊ぶテレビゲームが「ソニックフロンティア」でしたら、テレビゲームの魅力の一部を十分に体験できるように発売から一年かけて磨き上げていますので、無料アップデートもあわせて存分に楽しんで下さい。遊んでいただけるのを心よりお待ちしております!

「ホグワーツ・レガシー」開発会社Avalanche Software リード・デザイナー ケリー・マーフィー氏

Avalanche Software ケリー・マーフィー氏

――発売後の「ハリー・ポッター」ファンからの反応を見ての感想を教えてください。

ケリー:「ホグワーツ・レガシー」に対する皆さんの反応にとても感謝しています。私たちの使命は、ハリー・ポッターと魔法ワールドのファンのためのゲームを作ることでしたが、ファンの皆さんの反応が、その目標を達成したことを証明してくれました。魔法ワールドで新しいものを作る機会をいただけただけで、身が引き締まる思いでした。

また、フランチャイズのファンからこれほど好評を得たことは、プロジェクト開始時には夢見ることしかできなかったことです。これはAvalanche Software全員が、ファンのみんなにも愛してもらえるようなものを作るために、自らの情熱を注ぐことができた努力の賜物です。

――ユーザーの反響で印象に残っているものがあればお教えください。

ケリー:「ホグワーツ・レガシー」に対する私たちのお気に入りの反応は、私たちが作ったものに対するファンの感動的な反応です。ホグワーツ・レガシーが発売される前から、公開されたトレーラーに対するファンの反応にとても勇気づけられました。こうした反応こそが、ファンが長い間待ち望んでいたゲームを作るためにAvalanche Software全員が注ぎ込んだ膨大な情熱と努力を証明してくれました。

――「ハリー・ポッター」シリーズの世界観を再現するうえで最も注力したことを教えてください。

ケリー:「ハリー・ポッター」の世界を再現する上で、私たちが最も重視したことのひとつは、魔法の本物らしさと感触でした。魔法ワールドはアイコニックなフランチャイズであるため、何か違和感があればファンならすぐにわかります。そのため、本や映画でファンであれば誰もがよく知っている本物の息吹を、可能な限りすべての要素に吹き込む必要がありました。ただ魔法ワールドのように見えるだけでなく、感じられなければなりませんでした。

「ホグワーツ・レガシー」で魔女や魔法使いになってホグワーツに通い、その世界で暮らすというファンタジーを満たしてくれることを、ファンは期待していました。それが私たちの中心的なビジョンとなり、魔法ワールドに今までにない生命を吹き込んだのです。

――「ハリー・ポッター」IPの膨大なロアと整合性を取る作業は非常に困難だったと思われますが、特に苦心した点や、特に上手くできたと感じている点についてお聞かせください。

ケリー:「ホグワーツ・レガシー」は1800年代後半が舞台なので、魔法ワールドと「ハリー・ポッター」のロアについて、これまで見たことのない要素を自由に探求することができました。最大の挑戦は、ファンがすでに知っていることを単に蒸し返すことなく、親しみを感じられる世界を作ることでした。

「ホグワーツ・レガシー」は、伝承を通した既存のキャラクターや物語に埋もれることなく、ホグワーツに通い、魔法ワールドで暮らすというプレイヤー自身のファンタジーを実現する、プレイヤーの物語であり、プレイヤーの体験でありたかったのです。

そのバランスをうまくとることは、開発する中で絶えず変化する目標でした。そのような状況で魔法ワールド特有のルック&フィールから外れることがなかったのは、チームの情熱の賜物です。スタジオ自体がこのフランチャイズのファンであることが、私たち自身がプレイしたいと思う魔法ワールドのゲームを開発するための素晴らしい出発点になりました。

――本作は日本でも実況プレイが盛んに行われていました。開発チームで視聴して、印象的だった実況プレイはありましたか?(国内外は問いません)

ケリー:「ホグワーツ・レガシー」のゲームプレイ動画で、私たちが作ったものに皆さんがどう関わっているかを観るのは、Avalanche Softwareの誰もが大好きなことでした。素晴らしいゲームプレイ動画はたくさんあるので、特定のものを選ぶのは難しいのですが、オープンワールドの探索であれ、ホグワーツやその周辺でリラックスしているのであれ、皆さんが新しい方法で世界を発見するのを見るのが大好きでした。

また、ホグワーツを初めて見たり、セバスチャン・サロウのクエストラインで難しい決断をしたりと、ゲームに感情移入しているプレイヤーの動画を観るのも大好きでした。何年もの開発期間を経て、私たちは皆さんがゲームをプレイしている姿を見るのが本当に大好きになりました。


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