FIAがF1およびウォルフ夫妻の秘密保持違反の疑いについて調査へ。メルセデスとF1は完全否定

 あるメディアが、フォーミュラワン・マネジメント(FOM)のメンバーからF1チーム代表に秘密情報が渡された可能性があると報じた後、FIAが、これに関して調査を行っていることを明かした。FIAは詳細を述べていないものの、対象はメルセデスF1チーム代表トト・ウォルフ、妻でF1アカデミーのマネジングディレクターを務めるスージー・ウォルフであり、メルセデスとスージー、そしてF1は、疑惑を完全に否定する声明を発表した。

『BusinessF1』誌が、F1チーム代表の会合においてウォルフ代表が行った発言は、FOMからのみ情報を得られる可能性がある内容だったと伝えた。スージーはF1 CEOステファノ・ドメニカリの直属であり、彼女を通じてウォルフがFOMに関する情報にアクセスしているのではないかという疑いを持った一部F1チーム代表が、それをFIAに伝えたというのだ。

 FIAは、12月5日、個人名等を挙げることなく、次のような声明を発表した。

「FIAは、秘密情報がFOM職員からF1チーム代表に渡されたという疑惑を中心としたメディアの憶測を認識している。FIAコンプライアンス部門が、この問題を調査している」

 これを受けて、F1、メルセデス、スージー・ウォルフがそれぞれコメントを発表、疑惑を強く打ち消した。

 F1は、FIAが事前の連絡なく声明を発表したことを非難するとともに、情報漏洩の可能性を完全に打ち消した。

「我々は、FIAが今夜発表した公式声明が、事前に我々に共有されていなかったことに留意する」とF1は述べた。

「我々は、この申し立てが間違っていると完全に確信している。利益相反の可能性が生じる場合の情報と責任を確実に分離するための堅牢なプロセスと手順を備えているのだ」

「我々のチームのメンバーのなかで、チーム代表に許可なく情報を漏らしたことがある者はひとりもいないと、我々は確信しており、中身のない軽率で重大な申し立てをする者に対して警告する」

スージー・ウォルフ(F1アカデミー マネジングディレクター)とステファノ・ドメニカリ(F1 CEO)

 メルセデスF1チームも、以下のように、同様の声明を公表した。

「我々は、ひとつのメディアからの根拠のない主張に対して今夜FIAが行った一般的な声明と、それをメルセデスAMG F1チーム代表と結びつけたオフレコの会見に注目する」

「チームはこの件に関してFIAコンプライアンス部門から何の連絡も受けておらず、メディア声明を通じて調査の存在を知り、非常に驚いた」

「我々は、我々のチーム代表の誠実さとコンプライアンスを不当に侵害する声明および関連するメディア報道における申し立てを、完全に拒否する」

「当然のことながら、我々はFIAコンプライアンス部門に対し、この調査とその内容に関して完全かつ迅速かつ透明性のある対応を求める」

 スージー・ウォルフは、このような疑いをかけられたことは侮辱であるとして、強い怒りを示した。

「今夜なされた公然の告発により、深く侮辱されましたが、残念ながら驚くには及びません」

「私の誠実性がこのような形で疑問視されるのは残念なことです。それが威圧的で女性嫌悪的な行動に根ざしているようであり、私の能力よりも結婚の状態に焦点を当てているように思えるため、なおさら残念に思います」

「モータースポーツのキャリアを通じて、私は数々の障害に遭遇し、それを克服してきました。これらの根拠のない告発が、F1アカデミーへの私の献身と情熱を薄れさせることを拒絶します」

「このスポーツに携わる女性として、私は多くの困難に直面してきましたが、将来の世代が成功するための道を切り開くという私のコミットメントは揺るぎません」

「私は、可能な限り強い言葉で、これらの告発を拒絶します」

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