京アニ公判、青葉被告「この環境にいたら事件を起こさなかったと思う」拘置所生活の環境に感謝し

青葉真司被告

 36人が死亡、32人が重軽傷を負った2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第21回公判が6日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれた。被告人質問で青葉被告は、大阪拘置所で周囲に支えられながら過ごしている現状について、「この環境にいたら事件を起こさなかったと思う」と述べた。

 青葉被告はやけどの後遺症で拘置所では介助を受けながら生活している。弁護側からの質問で、サポートしてくれている周囲への認識を問われ、「感謝の念しかない。ちょっとしたことでも『ありがとうございます』と言うようにしている」と回答。その上で「もしこの環境にいたら、おそらくこんな事件を起こさなかったと思う」などと語った。

 被告人質問の前には負傷した社員らによる意見陳述があり、当時現場にいた男性が、現在の心境について「生き残ってしまったという罪悪感に似たものがある」と明かした。火の海になっていくのを目の当たりにしながら、同僚を残して逃げることしかできなかったと振り返った。「『ごめん』と思いながら走りました。無力でした」と声を詰まらせた。

 自分の面倒を見てくれた先輩、慕ってくれた後輩、好きなことを語り合った同期らのことを、ふとした時に思い出すといい、「悲しい、つらい、悔しい、むなしい。どんな言葉を使っても表現できない現実がある」と語った。

 全身に重いやけどを負った社員の書面も、検察官に読み上げられた。2年間で49回に及ぶ手術を受け、今も体温調節ができないなど日常生活に支障があるという。「私より若くて才能ある仲間が生きていた方がよかったのに」「この体で生きていくことがとてもつらい」と吐露した。

© 株式会社京都新聞社