日本で乗るにはちょうどいい、フォルクスワーゲンSUVの最新モデル2台を乗り比べ。BEVでもICEでも「初めての輸入車」にぴったり

Tロックは2017年にワールドプレミアされた初代モデルで、日本では2020年から販売されている。「ブラックスタイル」は2023年10月に設定された。

フォルクスワーゲンジャパンが毎年主催してくれる「オールラインナップ試乗会」に参加。航続距離を中心にバージョンアップが図られたID.4と、精悍な特別仕様Tロック TSIを乗り比べながら、「日本で乗るにはちょうどいい」フォルクスワーゲンSUVの最新トレンドをチェックしてみました。

取り回しやすさと実用性がちょうどいい

フォルクスワーゲンのID.4は、2022年11月に日本で発売されたフルバッテリーEVです。

最先端の運転支援システムを数多く採用。よりリラックスした時間を楽しむことができる。優れた静粛性とあいまって、ロングドライブも快適そのもの。

今回、試乗した上級仕様のProは、後輪駆動システムを採用しており、電気モーターによって最高出力204 PS、最大トルク310 Nmを発揮。加速0→100 km/hは8.5秒で、最高速度は160 km/hです。

77.0kW/hのリチウムイオンバッテリーを搭載しますが、ブレーキ関連の改良によって、満充電での航続距離が従来の561 kmから新たに618kmまで延長されました。

ID.4のボディサイズは、全長4585mm、全幅1850mm、全高1640mm。ホイールベースは2770mmと長く、サイズに比してゆとりの居住性を実現しています。車両重量は2140kg、装着されるタイヤは前235/50R20、後255/45R20と後輪駆動ならではの異サイズとなっています。

Tロックは2017年にワールドプレミアされた初代モデルで、日本では2020年から販売されている。「ブラックスタイル」は2023年10月に設定された。

一方のTロックは、2020年から日本に導入開始。 全長4250mm、全幅1852mm、全高1590mmで、ホイールベースは2590mm、前輪駆動でスペックだけ見れば、取り回しに関してはかなり軽快な雰囲気が予想できます。タイヤは前後215/50R18です。

試乗したTSI ブラックスタイルは「TSIスタイル」がベース。搭載される1.5L直4DOHCターボは最高出力150ps、最大トルク250Nmと、ID.4に比べればかなり控えめですが、車両重量は1320kgと非常に軽量です。組み合わされるトランスミッションは7速DSG、WLTCモード燃費は15.5km/Lと公表されています。

華やかさと精悍さのバランスがちょうどいい

エクステリアデザインはもちろんお好み次第となりますが、一見して伸びやかでエモーショナルなフォルムを持つID.4に対して、Tクロスはマッシブかつアクティブな印象が強めです。ID.4は新色のキングズレッドメタリックをボディにまとったツートン仕様だったこともあって、華やかな存在感が際立って見えました。

標準では17インチのアルミホイールを18インチのブラックペイントされたものに変更。

Tロックは特別仕様車のブラックスタイルということで、Cピラー部分にカーボン調のシートが追加されているほか、標準よりも1インチ大径かつブラックペイント処理されたアルミホイールを採用。非常に精悍な佇まいにまとめられています。

インテリアについても、ボディからに合わせて赤の差し色とブラックをコーディネイトしたID.4が、とてもおしゃれで若々しい印象でした。Tクロスはブラックアウトされた加飾をダッシュパッドやエアコンベゼル、インフォテインメントディスプレイ、センターコンソールなどに配することで、独特の上質感を演出しています。

車両価格はID.4 Proが648万8000円、TロックTSI ブラックスタイルが461万円。ID.4Proに令和4年度のCEV 補助金は65万円が交付されます。仮に自治体からの補助金を併用すれば、価格差はそれほど大きくはなさそうです。

スムーズな加速感と操る楽しさが、ちょうどいい

ドライバビリティに関してID.4は、デフォルトのノーマルモードで走っていると少しおっとりとした味わいが意外でした。電気モーターなので基本、ラグのない加速が発揮されます。けれど、それは思い切りダイレクトなタッチではなくわずかな「間」が感じられるもの。ブレーキングのタッチも同様で、総じてふんわりと落ち着いた運転が似合うセッティングだと思いました。

ドライブモードはセンターダッシュのスイッチで、エコ/コンフォート/パワー/インディビデュアル(自分で設定可能)に切り替えられられる。開口部の広いグラスルーフは、後席に乗った時の開放感をもたらしてくれる。

もう少しメリハリのあるドライビングが楽しみたい時には、モードを「パワー」にセットすれば印象が大きく変わります。アクセルペダルと駆動力のつながりが、加速だけでなく減速時にもダイレクトに伝わってくるので、クルマとの一体感がより強く味わえるはずです。

Tロックの1.5Lターボは、いい意味でフォルクスワーゲンの直噴ターボらしい真面目なフィーリングが好ましいと思えました。ほどよくスパイシーでフラットな「回転」感が、操る心地よさにつながっている、と言っていいでしょう。比較的短いホイールベースとの相性も良いようで、軽快な身のこなしが楽しめます。

ことユーティリティという面での実用性は、どちらも非常にハイレベルであり、安全装備も含めた上級感も十二分です。初めて輸入車を買う人にもおすすめできる扱いやすさと親しみやすさを備えていることを、改めて確めることができました。

電気自動車というとどうしてもアシの長さが気になってしまうかもしれませんが、そちらについても改良されたID.4なら安心感が向上しています。充電インフラをはじめとする環境条件はいまだに選ぶ基準として外すことはできないものの、逆に条件さえ整っているなら、電気自動車と内燃機関搭載車、どちらにするかを本気で悩んでOK!な時代が、このカテゴリーにも訪れているようです。(写真:永元秀和)

フォルクスワーゲンID.4 pro 主要諸元

全長:4585mm
全幅:1850mm
全高:1640mm
ホイールベース:2770mm
モーター種類:交流同期電動機
モーター最高出力:150kW(204ps)/4621-8000rpm
モーター最大トルク:310Nm/0-4621rpm
駆動方式:RWD
駆動用リチウムイオンバッテリー容量:52.0/77.0kWh
一充電航続距離:618km
乗車定員:5名
サスペンション形式:前ストラット、後マルチリンク
タイヤサイズ:前235/50R20、後255/45R20

フォルクスワーゲン Tロック TSI ブラックスタイル 主要諸元(ベースのスタイル)

●全長×全幅×全高:4250×1825×1590mm
●ホイールベース:2590mm
●車両重量:1320kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1497cc
●最高出力:110kW(150ps)/5000-6000rpm
●最大トルク:250Nm(25.5kgm)/1500-3500rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・50L
●WLTCモード燃費:15.5km/L
●タイヤサイズ:215/50R18
●車両価格(税込):461万円

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