長時間労働、兵庫県内1435事業所が法令違反 時間外100時間超も160カ所

兵庫労働局が入るビル=神戸市中央区東川崎町1

 兵庫県内の労働基準監督署が2022年度、長時間労働が疑われる1776事業所に監督指導をした結果、80.8%に当たる1435カ所で労働基準関係法令違反が見つかった。時間外労働の是正勧告が最多で、41.3%の733カ所に上った。労使協定(三六協定)を結んでいなかったり、協定の上限を超えて働かせたりしていた。 ### ■飲食店など改善進まず

 監督指導は毎年、長時間労働の情報などがあった事業所に実施している。

 時間外労働違反があった733カ所のうち、「過労死ライン」とされる月80時間超の人がいた事業所は272カ所、100時間超は160カ所、150時間超は29カ所を数えた。200時間超も8カ所あった。

 1~29人の少人数事業所が多く、業種は小売や卸売など商業、製造、保健衛生の順に続いた。

 監督指導した事業所の労働時間の管理方法は、タイムカードやICカード、パソコンの使用時間の記録などが65.8%を占めたが、自己申告26.2%、使用者による現認も8%あった。

 兵庫労働局労働基準部の担当者によると、現場の協定への理解が乏しいケースや、協定が形骸化している事例が目立つという。小規模事業所の経営者からは「人手不足で背に腹は代えられなかった」といった声も聞かれた。

 時間外労働以外は、過重労働があった従業員の面談をしなかったなど健康障害防止措置が不十分とした事業所が434カ所あった。残業代を支給しなかった111カ所にも是正勧告した。

 違反があった事業所の割合はここ数年、21年度78.9%、20年度82.1%、19年度80.3%と、ほぼ横ばいで推移している。同部の担当者は「飲食店などは入れ替わりが激しく、なかなか数値が減らない」との見方を示す。

 働き方改革関連法施行から来年4月で5年となり、新たに物流業界や建設業界、医師に対しても、罰則付きの時間外上限規制が適用される。同労働局は「健康で働き続けられる環境をつくるため、当該企業などに周知を続ける」としている。(竜門和諒)

© 株式会社神戸新聞社