【裏金?】自民党派閥の政治資金問題を現役政治記者が解説【派閥?】 第2回 投票率爆上げTV(仮)選挙ドットコムちゃんねるまとめ

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2023年12月2日に公開された動画では、朝日新聞政治部記者の今野忍さんをお迎えして「自民党の派閥政治資金問題」を解説していただきました。

派閥とカネの問題が突然?噴出。これってどういう問題?

【このトピックのポイント】
・自民党の派閥にはどんな役割がある?
・なぜ派閥に加わるの?お金以外の意義とは
・前原新党、この先どうなる?

今野忍さんは、2009年に政治部配属以来、二度の政権交代を最前線で取材。番記者としては菅義偉前首相、そして岸田文雄首相の担当を10年以上されているベテラン記者です。

自民党の派閥と「一致結束箱弁当」

現在の自民党の派閥は、次の通りです。最大派閥の安倍派、清和政策研究会の99人を筆頭に6派閥ありますが、勢いがあるのはどこの派閥でしょうか。といいますか、そもそも派閥とは……?

「自民党の中に派閥という政党が6つあると思ってもらえばいいです」と今野氏は説明します。

今野氏は、菅義偉前総理による派閥の要件として、次の3点が挙げられると教わったとのことです。菅前総理は無派閥でしたね。

政治資金管理団体を持っていること
毎週木曜日の12時に集まり、例会を開催すること
派閥ごとの事務所を持つこと

今野忍氏「なんで木曜のお昼に集まるんだと思います?」

今野氏は、木曜日の13時から国会の本会議が開催されることに基づいた、国会議員の行動パターンを解説します。

毎週木曜日の12時に派閥の事務所に集まる例会では、派閥の領袖(リーダー)から挨拶があり、情報交換を行います。そして、昼食を取って一緒に国会に行く。

すべての派閥が同じ時間に開催されるため、「兼務できない。二股できないのがポイント。一致結束箱弁当」だと今野氏は指摘します。

MC山本期日前「派閥の領袖の名前を使った○○派というのはメディアが呼ぶんですか?それとも派閥の中で正式に呼ぶんですか?」

派閥の正式名称と、派閥の領袖の名称の両方が使われ、新聞では「○○派」と書くことが多いと今野氏は説明します。

なお安倍派は、安倍さんが亡くなられてから、匹敵する後継者がいないから、五人衆と呼ばれる集団指導体制を敷いています。このため「安倍派」のまま呼ばれるのだそうです。

なぜ派閥を組むのか?やはりお金の問題?無派閥はどのくらいいるの?

MC山本「派閥では、やはりお金がもらえるからですか?」

今野氏「両方なんですよね。」

今回の政治資金パーティーで得た資金が記載されなかった問題は、「もらえるっちゃもらえるし、自分たちでも払わなければならないところがあって例えるのが難しい」と今野氏は言葉を濁します。

そもそも、なぜ派閥での政治資金集めが必要になるのでしょう。

派閥は政党のようなもので、永田町にかまえた事務所や、そこに勤める職員がいます。資金管理団体も作っています。

それらの運営に必要な寄付を集めるためのパーティーが、政治資金規制法で実施を認められた「政治資金パーティー」と呼ばれるものです。

政治資金パーティーで集まったお金を、派閥では、お盆や年始年末の地元に帰る議員に、まとまった金額を「氷代」「餅代」として渡します。他方、議員にとってはパーティー券を売る、厳しいノルマが課されます。

MC山本「下手すると(収支が)マイナスになっちゃう可能性もある」

今野氏「あります」

ところで、今、羽振りのいい派閥はどこでしょう?二階氏が幹事長をやっていた頃の二階派は羽振りがいいとささやかれましたが……現在では、一概にどこの派閥が羽振りがいいとは言えないようです。

MC山本「どこのポストについているかで」

今野氏「いや、幹事長って自民党の金庫番ですから……(笑)」

自民党の政党交付金は300億円。その中から派閥に分配されていますが、そもそも派閥は中選挙区の時代に作られたもの。

本来、小選挙区化に伴い派閥も解散すればよかったものの、自民党の文化として派閥が残ってしまっていると今野氏は問題視します。

現在の派閥の意義は、「大学のゼミやサークルに近い感じ」と今野氏は例えます。選挙の応援や情報交換に加え、先輩からもらえる情報量や関係性づくりが、新人議員にとっては役に立つのだと言います。

そもそも、派閥がクローズアップされますが、自民党の国会議員は約380人。無派閥の国会議員が50〜80人くらいいると予想されます。「無派閥もけっこうな数がいる。自民党は派閥ですべてじゃない」と今野氏は語ります。

やっと本題、自民党派閥の政治資金問題

自民党の5つの派閥で、本来政治資金報告書に記載しなければならない、20万円を超える支出をした団体の名前や金額など、およそ4000万円分が記載されておらず、大学教授が告発状を提出したという問題。

この問題について今野氏は、先ほどまでの解説にあったように「派閥自体が難しい位置づけ」となっていることから、世の中を賑わせるほどの話題にはなっていないものの、派閥の事務職員らが東京地検特捜部から任意で取り調べを受けるなど、「永田町や政治界隈では深刻な問題になっている」と言います。

この問題には、2つの問題があると今野氏は解説します。

まずは、事務手続き上、規則の問題です。そもそも、同一人物・団体から20万円を超えない場合、名称を書かなくていいという政治資金規制法に問題がある、と今野氏は指摘します。

たとえば、寄付をする個人や企業が複数の国会議員に寄付した結果、派閥の合計が20万円を超えれば収支報告書に記載します。しかしその一方で、寄付された派閥の側は、寄付された議員が複数に分かれていて、それぞれが20万円を下回るため名称を記載しなかった……こうした結果の積み上げが、この4000万円になっているとコメントします。

MC山本「悪気なくそうなっている可能性がある?」

今野氏「そういうお金もあるし、それがすべて4000万円かがわからない。だから特捜部が調べている」

もうひとつは、そのお金がどう流れているのかという問題です。

折しも、記載されていないとされる4000万円の半分、約1900万円が安倍派のもの。派閥人数が多いせいもありますが、今野氏は「ひょっとしたら大きな問題になるかもしれない」と予想します。

書類上の不記載で済むのか、裏にお金が回っていたということになれば、派閥への影響は避けられないでしょう。

無派閥だった菅前総理の時代から、岸田総理になって派閥政治に戻っていると今野氏は指摘します。次の選挙や総裁選に向けて、派閥制度そのものが見直しになるかは、今後の捜査を見ないとわからない段階だと今野氏はコメントしました。

今後の動きを見守っていきましょう!

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