一力、3期ぶり天元に復位 自身初の三冠、関から奪還

第4局で勝利し、感想戦で対局を振り返る一力遼新天元=6日午後、洲本市小路谷、ホテルニューアワジ(撮影・笠原次郎)

 囲碁の第49期天元戦5番勝負(神戸新聞社主催)の第4局(淡路共正陸運など協賛)が6日午前9時から洲本市のホテルニューアワジで打たれ、午後5時40分、白番の一力遼二冠(26)=棋聖、本因坊=が関航太郎天元(22)に242手で中押し勝ちした。一力二冠は通算成績3勝1敗で3期ぶりに天元へ復位し、自身初の三冠保持者となった。

 一力新天元は今年、棋聖を防衛し、本因坊を奪取。天元の奪還によって七大タイトルのうち三つを保持し、日本囲碁界はタイトルを一力と芝野虎丸二冠(24)=名人、十段、井山裕太二冠(34)=王座、碁聖=が分け合う構図となった。

 関は天元戦3連覇を狙ったが、及ばなかった。(井原尚基、小林伸哉)

一力遼新天元の話 白64(12十四)あたりは少し大変と感じていた。白72(10十二)、74(11十一)の出切りから中央の白が厚くなり得をした。白100(9五)からコウになったのはまずかったが、形勢は難しい。秒読みで乱れたが、自分なりに精いっぱい打てた。天元奪取という結果を出せてよかった。

関航太郎前天元の話 黒49(9八)と飛んだところは、悪くなかったのではないか。黒63(9十)は良かったどうかはわからない。白100(9五)からコウになり、やれるかなと思っていた。黒139(4八)では148(12十)ツギと迷っていた。終盤で乱れてしまったのは残念。(5番勝負では)毎局、課題が多いと感じていた。

【いちりき・りょう】 1997年生まれ、仙台市出身。宋光復九段門下。2010年夏季入段(プロ入り)。20年に初タイトルの碁聖を獲得して以来、通算タイトル(7日現在)は天元2期、棋聖2期、本因坊1期、碁聖1期の計6期。日本棋院東京本院所属。早稲田大社会科学部卒。河北新報(仙台市)記者でもある。

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