【連載コラム】第41回:主要アワードは残り2つ 大谷翔平のハンク・アーロン賞初受賞は間違いなし

写真:大谷はさらに2つのアワードを手にする可能性が高い ©Getty Images

MLBはウィンター・ミーティングに突入し、大谷翔平や山本由伸を中心に移籍市場の様々な話題で盛り上がっていますが、まだ発表されていないアワードが2つあります。攻撃面において各リーグで最も優れたパフォーマンスを見せた選手を表彰する「ハンク・アーロン賞」とレギュラーシーズン全体の成績を対象としてオールスター・チームを選出する「オールMLBチーム」です。

ハンク・アーロン賞は1999年、オールMLBチームは2019年に表彰がスタート。今年は初めて「オールMLBウィークエンド」というイベントが現地時間12月14~17日にラスベガスで開催され、この2つのアワードは同16日(日本時間17日)に発表される予定となっています。満票でア・リーグのMVPに輝いた大谷がこの2つのアワードも手にするのはほぼ間違いありません。

ハンク・アーロン賞のファイナリスト(各リーグ9人)はすでに発表されており、ファン投票も終了。受賞者はファン投票の結果を1票として扱い、殿堂入り選手によって構成される選考委員会の投票によって決定されます。ア・リーグからは大谷のほかに、ヨーダン・アルバレス(アストロズ)、ヤンディ・ディアス(レイズ)、アドリス・ガルシア(レンジャーズ)、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)、フリオ・ロドリゲス(マリナーズ)、コリー・シーガー(レンジャーズ)、マーカス・セミエン(レンジャーズ)、カイル・タッカー(アストロズ)がノミネート。大谷は2021年、2022年と2年連続でファイナリスト入りしながらも受賞を逃しましたが、メジャー全体でトップのOPS1.066をマークした今季は「3度目の正直」で「リーグ最強打者」の称号を手にすることになるでしょう。

ちなみに、このハンク・アーロン賞は初年度(1999年)のみ安打・本塁打・打点に特定のポイントを割り振り、その合計によって受賞者を決めるというシステムでした。しかし、翌2000年には早くも投票による選出に変更。何度か投票システムが変更され、現在の形式に至っています。過去、日本人選手が受賞した例はなく、大谷が受賞すれば日本人(かつアジア人)選手として初の快挙ということになります。

一方、オールMLBチームのファイナリストもすでに発表されており、ファン投票も終了。日本人選手では大谷が指名打者部門と先発投手部門、メッツの千賀滉大も先発投手部門でノミネートされました。オールMLBチームは、捕手・一塁手・二塁手・三塁手・遊撃手・指名打者が各1人、外野手3人、先発投手5人、救援投手2人という構成で、ファン投票と選考委員会による投票の結果を50%ずつ合計し、リーグの区別なく、ファーストチームとセカンドチームを選出します。

大谷は2021年に指名打者部門でファーストチーム、先発投手部門でセカンドチームに選出され、史上初の「二刀流選出」を達成。2022年も先発投手部門でファーストチーム、指名打者部門でセカンドチームと投打両方で選ばれており、今回は3年連続の「二刀流選出」を目指します。リーグ2位の防御率2.98を記録し、シーズン200奪三振も達成した千賀は、ファーストチームは難しいかもしれませんが、セカンドチームに選ばれるチャンスはありそうです。

この2つが発表されれば、MLBの主要アワードはすべて発表されたことになります。本塁打王、MVPに加え、シルバースラッガー賞、エドガー・マルティネス賞などを受賞した大谷。さらに2つのアワードを加え、WBC優勝から始まった2023年シーズンを締めくくることになりそうです。

文=MLB.jp 編集長 村田洋輔

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