伊東四朗と羽田美智子の“凸凹父娘”コンビも見納め!「おかしな刑事」が完結。「20年…“娘”がいて楽しかった」

テレビ朝日系では2024年1月6日に「おかしな刑事最終回!大千秋楽スペシャル」(午後8:00)を放送。20年続いた人気シリーズがついにファイナルを迎える。

「おかしな刑事」は、たたき上げの刑事・鴨志田新一(伊東四朗)と、エリート警視の娘・岡崎真実(羽田美智子)という“凸凹父娘コンビ”の活躍を描く刑事ドラマ。03年8月に「土曜ワイド劇場」で第1弾がスタートして以来、同枠や「日曜ワイド」「ミステリースペシャル」枠などで放送を重ねてきた。

最大の魅力は、父の鴨志田が捜査会議で居眠りばかりしている“所轄署のヒラ刑事”で、娘の真実が“警察庁のエリート警視”という設定と、そんな2人の軽妙なやりとりだ。さらに、下町を舞台にした人情ミステリーと作品の根底に漂うおかしさと温かさが支持され、主演の伊東は現役刑事役の最年長を更新し続けてきた。京都を舞台に全編撮影した「京都スペシャル」2作も含めると、最終作は通算27作目となる。

今回の「大千秋楽スペシャル」では、鴨志田がついに定年退職。最後の出勤も終え、残すは有給休暇の消化のみというタイミングで、大手建設会社社長が誘拐される衝撃事件が発生する。身代金として2億円分の金のインゴットが犯人に奪われるが、実はその2億円こそ大物政治家に渡す予定の裏金だった疑惑が浮上する。そこに、古きよき人情が残る団地の再開発問題や、建設会社社長親子の確執、イケメンに弱い真実の恋愛など、さまざまな要素がからんで、まさに大千秋楽の名にふさわしく、笑いと愛に満ちたミステリーが繰り広げられていく。

ファイナルとあって、羽田のほか、父娘の大家でもある弁護士・姉小路行人役の石井正則、鴨志田を何かと手助けしてきた弁護士・武井昭一役の正名僕蔵、東王子署刑事課係長・工藤潔役の飯田基祐、行人の“横浜の叔母さま”こと三浦由紀子役の田島令子、東王子署刑事課長・坂下純次役の小倉久寛ら、おなじみの豪華レギュラー陣が集結。

さらに、物語の鍵を握る建設会社社長・栗山喜一郎役で三宅裕司がゲスト出演する。伝説のコントバラエティー「いい加減にします!」(日本テレビ系)をはじめ、コントライブや舞台「伊東四朗一座」「熱海五郎一座」で長年伊東と共演してきた三宅が、息の合った演技を披露する。実は、伊東と相性抜群の三宅にはこれまで幾度かゲスト出演のオファーをするもスケジュールが合わず、今回まさに満を持しての登場となる。

そんな三宅の息子役で吉村界人、娘役で内藤理沙、その婚約者役で黄川田雅哉、団地の住人として遠藤久美子、鷲尾真知子も出演し、シリーズのフィナーレを盛り上げる。

ファイナルを迎えるにあたって、伊東は「27本やってきたなんて、あらためて考えるとすごいことだね。でも“定年”っていわれると、実は恥ずかしいんですよ。だって第1作を撮影したのは、私が66歳の時で、このシリーズを始めた頃にはすでに定年の年齢でしたから(笑)。皆さんに“タイトルからして『おかしな刑事』なんだからいいんじゃない?”なんて言われながら続けてきました」とコメント。

さらに、「20年経ったなんてとても思えない! 1作目の伊勢志摩ロケが、ついこのあいだのようです。もちろん当時はこんなに長く続くシリーズになるとは思っていませんでしたね。皆さんがこの作品を愛してくださったとしたら、私とみっちゃん(羽田)が本当の親子みたいに見えたからじゃないですかね。鴨志田はみっちゃん演じる真実に責められてばかりなんですよ。でも、責められても何を言われても、私は実生活では娘がいませんので、この期間中だけでも娘がいるってとても楽しいなと思いながらやってきました。いや、娘っていうのはうれしいですよね。これ、息子だったらかなり飽きてましたね(笑)」と、羽田に対する感謝を口にした。

また、ほかのレギュラーメンバーに対しても「このキャストたちも、『おかしな刑事』の強みですね。27本も続けていると、彼らがどんな芝居をしてくるか、もう読めちゃいますけどね(笑)。でも一番の“おかしな刑事”は、おぐちゃん(小倉)演じる坂下刑事課長だろうね。あんな人が課長をやってるってことがおかしいですね。一度も事件を解決していないんだから(笑)」と笑顔を見せた。

大千秋楽スペシャルについては、「“最終回じゃないんじゃない?”と思うほど、『大千秋楽スペシャル』は、いつもながらのムードですね。だから皆さんも安心してご覧いただけると思います。これまで三宅裕司と私の共演は、ほとんどがコント番組か喜劇の舞台。そんな2人が今回、一つも悪ふざけすることなく大真面目に演じていますから、珍しいものを見られるんじゃないかな。そこは大いに楽しんでいただけるんじゃないかなと思っています」と見どころを語り、期待感をあおった。

そんな伊東を「芸能界の父」と慕う羽田は、「ファイナルという言葉には寂しさを感じますが、スタッフ・キャストみんなで“せーの”で飛び立った作品が奇麗に着陸できるのは喜ばしいことだなと思います。ずっと閉店セールをやっているお店みたいに、またひょっこり集まれたらいいな」と、ファイナルを迎える気持ちを明かした。

続けて、シリーズが長く愛されてきた理由に関しては、「視聴者の皆さんの中に、“伊東さんだったら絶対に面白いものを見せてくれる”という安心感がある上に、お芝居のしっかりした役者さんたちが脇を固めているところでしょうか。彼らはスマートに事件を解決するのではなく、人間くさくて愛嬌(あいきょう)のある捜査をする…。ミステリーだけど、コメディーでもありホームドラマでもあるというおかしみがあって笑って見られるのが、シリーズの魅力なのかなと思っています。レギュラーキャストの皆さんは伊東さんを心からリスペクトしている、期待を裏切らない俳優さんたち。奇抜なことはしないけど、真面目な中にもどこか“おかしみ”を持てるよう、常に考えていらっしゃいます」と、作品が魅力的であり続けた原動力を分析。

27作で真実役を演じる上で気を付けてきたことにも触れ、「真実の名は“しんじつ”と描いて“まさみ”と読みますが、そこに父と母がこめた思いを感じます。そして、彼女はなるべくして警察官になったんだなと思います。だから事件に対しては、できないなりの真摯(しんし)さが必要だなというのはずっと意識していました」と述べ、「あとは、やっぱり真実はお父さんがすごく好きなんですよね。だからこそ、ツンデレになってしまう…。そのバランスは本数を重ねても変えたくないなと考えてきました」と、伊東への尊敬の念をにじませながら、役柄に込めた思いを口にした。

あらためて「鴨志田さんのいない捜査現場がいかに大変か、みんなが身をもって知るシーンがあり、鴨志田さんへの思いを抱きながらもそれぞれが成長していきます。鴨志田さんと真実の父娘の関係にも“ある変化”が…。ドラマはファイナルかもしれませんが、登場人物たちはずっと生きています。“別れ”ではなく、1回着地して新たな人生が始まっていく…そんなすてきなお話になっていると思います」と力を込めた。

ファイナルにしてゲスト出演となる三宅は、「何度もお話をいただいていて、ついに実現してうれしかったです。最終回ということで大変光栄でした。脚本はたくさんの伏線が見事に回収されて、すてきなラストを迎える本でした。ただ、回想シーンが結構あって、栗山の気持ちの確認が大変でした」と出演を喜び、「“日本の働くお父さん”の家族への思いは共感できました。私のキャラに合った役だと思いました。小倉(久寛)とのカラミはコント芝居にならないように注意しながら、ギリギリまで攻めて面白くなるように頑張りました」と報告。

続けて「昔ながらの現場の活気ある言葉が飛び交う勢いがありながらも、20年の重みとチームワークが感じられる楽しい現場でした。伊東さんは、待ちの時は目を閉じていて寝てるのかなと思うと、『本番!』の声でバチッとスイッチが入る。86歳とは思えません。羽田さんが姿を見せると現場がパッと明るくなり、あの笑顔で皆も笑顔になる太陽のような存在でした」と撮影現場の様子を伝え、「やはり鴨志田の最後の見事な推理と伊東さんを中心になんともいえない温かいチームワーク。皆さんも一緒に推理しながら楽しんでください」と視聴者へ呼び掛けている。

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