<現地取材>2部降格のおこしやす京都AC、最後のタイトルに近づく「PK戦でのドラマ」の裏側

12月2日に行われたKSLアストエンジカップの決勝トーナメント1回戦。関西サッカーリーグの6チームと街クラブ、Jクラブユースが一同に介して行われる異色の大会だ。

その1回戦で対決することになったのが、今年関西サッカーリーグで最下位という成績に終わったおこしやす京都ACと、優勝を果たしたアルテリーヴォ和歌山。

シーズンの明暗が分かれた2チームの対戦は、悔しい思いを抱いたおこしやす京都ACが勝利を収めることになる。

先制したのはアルテリーヴォ和歌山であったが、それからしばらくしておこしやす京都ACの野田樹が放ったシュートのこぼれ球を高田淳平が押し込み、同点に追いつく。

さらに後半開始直後にもアルテリーヴォ和歌山が追加点を決めたが、おこしやす京都ACは再び追いつく。佐々木陽介のクロスを野田樹が合わせ、2-2と食い下がる。

そして持ち込まれたPK戦。両者ともに3者連続成功したあと、勝負が動いたのは4人目だった。

先攻のおこしやす京都ACは4人目の康起甫が成功。そしてその後、GK森山雄介がアルテリーヴォ和歌山4人目の小久保裕也のシュートをストップする。

5人目となったおこしやす京都ACの高田淳平はポストに当てて外してしまうも、アルテリーヴォ和歌山の5人目北野純也も枠を外して失敗。

この時点でPK戦は4-3という結果でおこしやす京都ACが勝利。9日に行われる準決勝へと駒を進めることになった。

PK戦での強さを見せたおこしやす京都ACのGK森山雄介は、この試合を振り返って以下のように話した。

――森山選手お疲れ様でした。PK戦の感想は?

PK戦は今シーズン2回あったんです。その結果は1勝1敗だったんですけど、自分は前日しっかり練習していたので、自信を持って望めたかなと思います。

――そういえば、味方のPKは見ないんですね(笑)

そうなんです(笑)見ると緊張してしまうので、周りの歓声を聞いて反応するという感じにしていますね。

――全体の流れとしては2失点もありましたが、振り返ると?

前半1-1で折り返して、後半は絶対に無失点で行きたかったんですけど、再開から1分ちょっとくらいで失点してしまって。それが結果としてPKまで繋がってしまったので、今度は90分で決められるように無失点で抑えたいですね。

――リーグ戦では2部降格してしまいました。それから2ヶ月ほど、どのように取り組んでいましたか?

最近はキーパー的な部分よりも足元やキックを意識してやってきました。あとはゲームマネジメントというところにも取り組んでいました。

今日は先制されてはいけないところで先制されたり、同点に追いついたあとも後半最初に失点してしまったり、なかなか成果を見せられなかったので悔しい思いがあります。

ただ足元のプレーやキックの部分では落ち着いた部分がありましたし、パントキックでカウンターにつなげるところは成果が出たと思います。

そして、前半に貴重な同点ゴールを決めた高田淳平は以下のように話していた。

――勝利おめでとうございます、試合の感想は?

率直に「勝つって気持ちいいな」と。このような試合展開になりましたけど、やっぱり勝つこと、みんなでやるべきことをやってチーム一丸となれたことがすごく良かったなと思います。

ゴールについては祥太くん(林祥太)からボールが出て…野田選手がシュートを打つだろうというのは分かったので、僕はリバウンドのボールに突っ込んでいこうと。

アルテリーヴォ和歌山にはなんとしても勝ちたかったので、あそこに突っ込んでいこうと思いました。

――魂が見える瞬間でしたね

自分はそこしかないと思っているので(笑)

――PK戦の最終キッカーではポストに当ててしまいましたね

ちょっと言い訳にはなっちゃうんですけど(笑)。置いたボールがずっと右に少し転がっていて…ちゃんとセットしたかったんですけどね。

それをしっかり止めておきたかったな…というのは少し後悔があるので、次からは気をつけていきたいと思います。

たけびしスタジアムの夏は本当にとてもきれいな芝なんですけど、先日ここでラグビーもやっていたということで、ちょっと凸凹があったんです…けど、言い訳せずに練習を積み重ねるだけですね、コツコツと(笑)

――残り2試合に向けて

もう優勝しか見ていないです。チーム一丸となってやれば勝てるということを証明できたと思うので、そこだけを目指してやっていきます。

リーグ戦で1分1敗だった相手、しかもチャンピオンになったアルテリーヴォ和歌山と戦う。地元のたけびしスタジアムで試合ができる。しかも負けたら終わりというシチュエーション。

選手一人一人が「ここは僕たちが勝つべき舞台だ」と認識していたと思うんです。それが勝利に繋がったと思います。

そして、関東リーグやJリーグも経験した野田樹選手は、このKSLアストエンジカップでの戦いについて以下のように話した。

――勝利の感想は?

残りの試合数が少なくなっているなか、負ければチームの活動が終わってしまう。今日を含めて絶対に3試合全てやるんだという気持ちで試合に入れました。勝利できたことは本当に嬉しかったです。

ゴールについては、いまKSLアストエンジカップでは連続して得点できているので自信を持って挑めているというのもありますね。勝利に貢献できたことは非常に嬉しいです。

――この大会までかなり間が空いていましたが…

そのように試合の間隔が空いたときだからこそ、選手としての価値、チームとしての価値が問われます。

選手としてもチームとしても上に行くために何をするか。みんなしっかり練習で強度高く、試合のようにやれていた。それが勝利に繋がったかなと思います。

――KSLカップは4年ぶりの復活。12月半ばまで目標があるという状況は?

Jリーグのチームも12月の1週目に活動が終わってオフシーズンに入っていく中、最後までチームで試合ができるのは非常に幸せなことです。

もちろんKSLアストエンジカップは地域CLのような目標ではないですけど、タイトルというのはチームとして大事なことなので、目指してやっていきたいと思います。

――このあと準決勝、そして決勝もあります。最後にファンへひとこと

残り2試合は本当にこの1年の集大成ですし、やってきたことを存分に発揮して、そして自分のゴールで優勝に導きたいと思います。

一年間本当に応援ありがとうございます。あと2試合ありますので、皆さんと優勝を分かち合えるように頑張ります。

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準決勝に進出したおこしやす京都ACは、12月9日に野洲川歴史公園(ビッグレイク)で関大FC2008と対戦する予定となっている。そして決勝戦と3位決定戦は12月16日の万博記念公園陸上競技場で行われる。

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